アル・ヘイモン
アル・ヘイモン(Al Haymon、男性、1951年4月21日 - )は、アメリカのボクシングマネージャー兼アドバイザー。本名はアラン・ヘイモン(Alan Haymon)。オハイオ州クリーブランド出身。多くの有力ボクサーと契約しているが、表舞台に立つことが無い非常に謎の多い人物で、記者会見に出席する事やリングサイドで試合を観戦する事が無く、マスメディアのインタビューを避け、写真撮影すら嫌う。このためGhost(幽霊)と呼ぶものもいる。アメリカ合衆国ボクシングライター・アソシエーションの年間最優秀マネージャー賞であるカス・ダマト賞を5度受賞している。弟のボビー・ヘイモンは元プロボクサー。
経歴
ヘイモンはオハイオ州クリーブランドで育ち、ハーバード大学で経済学を専攻した[1]。
音楽プロモーター
ヘイモンはまず音楽プロモーターとして活動を始め、在学中に奨学金でヴァイオリニストのジャン=リュック・ポンティのコンサートを開催した。その後、M.C.ハマー、ホイットニー・ヒューストン、メアリー・J. ブライジなどのミュージシャンをプロモートし成功を収めた。1987年以降には音楽業界以外にも手を広げエディ・マーフィなどと仕事をした[1]。
ボクシング
2000年ごろにバーノン・フォレストのマネージャーとしてボクシング業界に進出し[1]、2014年に新会社「ヘイモン・ボクシング」を設立(但し実際のプロモーションは他のプロモーターに委託している)。2015年3月からは、地上波テレビの4大ネットワークの一つNBCと契約し、ボクシング中継番組「プレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)」を開始した[4]。しかし初回こそ順調な滑り出しだったが、その後は視聴率が下落し続けており[5]、選手への高額なファイトマネーと番組制作費などの経費で赤字になっている事が判明[6][7][8]、早くも打ち切り説が挙がったが、PBCシリーズに出場していた選手をショウタイムのチャンピオンシップ・ボクシングに転出させて高額ファイトマネーの削減、2016年6月25日のキース・サーマンVSショーン・ポーターではPBCが試合を提供したものの、ショウタイムが番組制作を担当し、CBSがテレビ中継するジョイント形式の放送で番組制作費の削減に努めて何とか巻き返しを図っている。
2015年4月、アメリカ・ボクシング・コミッション協会がアメリカ司法長官ロレッタ・リンチにアル・ヘイモンの身辺調査をするよう依頼する[9]。
2015年5月、ゴールデンボーイ・プロモーションズのオスカー・デ・ラ・ホーヤとバーナード・ホプキンスが原告となり、アル・ヘイモンと、その関連企業のヘイモン・デベロップメント、ヘイモン・スポーツ、ヘイモン・ボクシング、ヘイモン・ボクシング・マネージメントなど、そしてアル・ヘイモンに4億ドル以上(約500億円以上)を出資している投資会社のワッデル&リード・ファイナンシャル(本社カンザスシティ)を、反トラスト法(独占禁止法)とモハメド・アリ法に違反しているとして、3億ドル(約380億円)の損害賠償を求めて訴訟を起こした[10][11]。2017年1月29日、ゴールデンボーイ・プロモーションの訴えを却下する判断を裁判所が下し、アル・ヘイモンが勝訴する形となった[12]。
2015年6月、トップランクがゴールデンボーイ・プロモーションズに続いて、類似した内容で1億ドルの損害賠償を求めて訴訟を起こしたが[13]、同年10月に裁判所がトップランクの訴えを退ける判決を下す[14]。同年11月、訴えを退けられたトップランクが改めて2度目の訴訟を起こすが[15]、2016年5月19日に合意条件は明らかにされなかったがトップランクとヘイモンとの間で和解に落ち着いた[16]。
2018年9月5日、FOXと4年契約をした。詳細の発表はなかったが1年あたりの放映権料は5000万ドル(約56億円)から6000万ドル(約68億円)と報じられた。これまでプレミア・ボクシング・チャンピオンズは全てのテレビ局にお金を払って放送枠を買っていたため、この契約が初めて放映権料を得られる契約となった[17][18]。
- ヘイモンと関係の深いプロモーターとして、ルー・ディベイラ率いるディベイラ・エンターテインメント、レオン・マグダレス率いるウォリアーズ・ボクシング、マッチメイカーのトム・ブラウン率いるTGBプロモーションズ、ジェシー・ジェームズ・レイハとマイク・バッター率いるレイハ&バッタープロモーションズ、マーシャル・カフマン率いるキングス・プロモーションズ、イブロン・マイケル率いるGYMボクシング、イギリスのエディー・ハーン率いるマッチルーム・スポーツ、メキシコのプロモーシオーネ・プエブロ、エイドリアン・ブローナー率いるアバウト・ビリオンズ・プロモーションズ、レオナルド・エレーベとフロイド・メイウェザー・ジュニア率いるメイウェザー・プロモーションズ、元ゴールデンボーイ・プロモーションズのCEOのリチャード・シェイファー率いるリングスター・スポーツ、レオ・サンタ・クルスが率いるラスト・ラウンド・プロモーションズ、ダニー・ガルシア率いるDSGプロモーションズがあり、その中でも特にディベイラ、ブラウン、マグダレス、エレーベ、メイウェザー・ジュニア、シェイファーはヘイモンからの信頼が厚い。
マネージャー契約選手
- サウル・アルバレス
- エロール・スペンス・ジュニア
- テレンス・クロフォード
- ガーボンタ・デービス
- デオンテイ・ワイルダー
- ジャーモール・チャーロ
- ジャーメル・チャーロ
- デビッド・ベナビデス
- キース・サーマン
- ダニー・ガルシア
- スティーブン・フルトン
- ブランドン・フィゲロア
- ヨルデニス・ウガス
- レイ・バルガス
- デビッド・モレル
- エリスランディ・ララ
- カルロス・アダメス
- ブライアン・カルロス・カスターノ
- アンディ・ルイス・ジュニア
- セバスチャン・フンドラ
- カレブ・プラント
- マーカス・ブラウン
- イサック・クルス
- ラジャブ・ブタエフ
- クリス・コルバート
- マリオ・バリオス
- マーク・マグサヨ
- エイマンタス・スタニオニス
- ゲイリー・アントゥアン・ラッセル
- ゲーリー・アントニオ・ラッセル
- エリクソン・ルービン
- ジョンリル・カシメロ
- エマヌエル・ロドリゲス
- ヘルウィン・アンカハス
- セルゲイ・デレフヤンチェンコ
- エドゥアルド・ラミレス
- レオ・サンタ・クルス
- ゲーリー・ラッセル・ジュニア
- オマール・フィゲロア
- ホセ・ベナビデス
- ジェシー・バルガス
- トニー・ハリソン
- ロバート・イースター・ジュニア
- ランセス・バルテレミー
- ロバート・ヘレニウス
- ジャーマル・ジェームス
- ジャレット・ハード
- ダニエル・ローマン
- ツグスソグ・ニヤンバヤル
- マチェック・スレッキ
- テレル・ガーシャ
- アンジェロ・レオ
- アブネル・マレス
- ギレルモ・リゴンドウ
- ルイス・オルティス(2017年3月契約)[19]
- ジャン・パスカル
- ジェイソン・ロサリオ
- セルゲイ・リピネッツ
- アンソニー・ディレル
- アンドレ・ディレル
- ジュリアン・ウィリアムズ
- ユリオルキス・ガンボア(2019年2月契約)
- ファン・カルロス・パヤノ
- クリス・アレオーラ
- ハビエル・フォルトゥナ
- ロバート・ゲレーロ
- オースティン・トラウト
- カレブ・トルアックス
- ルーシー・ウォーレン
- マット・コロボフ
- ビクトル・ポストル
- クラウディオ・マレロ
- アルヘニス・メンデス
- チャールズ・マーティン
- ドミニク・ブラゼール
- ピーター・クイリン
- アンドレ・ベルト
- デボン・アレクサンダー
- ビクター・オルティス
- ディエゴ・マグダレノ
- ルイス・コラーゾ
- オスカル・エスカンドン
- ジェームス・カークランド
- アルフレド・アングロ
元マネージャー契約選手
- フロイド・メイウェザー・ジュニア
- マニー・パッキャオ
- レイモン・ブリュースター
- ポール・ウィリアムス
- バーノン・フォレスト
- ワシリー・ジロフ
- オードリー・ハリソン
- アントニオ・ターバー
- マルコス・マイダナ
- ルーカス・マティセー
- 亀田興毅
- 亀田大毅
- 亀田和毅
- ジャーメイン・テイラー
- ポール・マリナッジ
- ダニエル・ジェイコブス(2017年9月離脱)
- アルツール・ベテルビエフ(2017年11月離脱)[20]
- カール・フランプトン
- チャド・ドーソン
- ミゲル・アンヘル・ガルシア
- ショーン・ポーター
- レジス・プログレイス
- フリオ・セサール・チャベス・ジュニア
- ルイス・ネリ(2019年1月契約。サンフェル・プロモーションズと共同プロモート)[21]
- エイドリアン・ブローナー
脚注
- ^ a b c d “Behind the Scenes, Haymon Is Shaking Up the Fight Game”. The N.Y Times (2011年12月17日). 2015年2月7日閲覧。
- ^ ニューヨークタイムスのトム・ウルハムカメラマンがメイウェザー・ジュニアと観戦することがないヘイモンと一緒に観戦しているところを実際に撮影されている(リンク記事1を参照)。この時メディアに素顔を初めて公開された。
- ^ “Bobby Haymon”. BoxRec. 2015年2月19日閲覧。
- ^ NBCテレビ第1弾はゲレロvsサーマン Boxing News(ボクシングニュース) 2015年1月15日
- ^ “PBC on NBC viewership continues to fall”. ESPN.com (2015年10月1日). 2015年10月12日閲覧。
- ^ PBC第2弾は視聴件数減、坂井祥記がモンテレー登場 Boxing News(ボクシングニュース) 2015年4月14日
- ^ “THE HAUSER REPORT: Haymon Boxing at Barclays Center”. The SweetScience.com (2015年4月13日). 2015年10月12日閲覧。
- ^ “米ボクシングが地上波テレビに復帰、壮大なミステリーの始まり”. 杉浦大介 (2015年3月11日). 2015年10月12日閲覧。
- ^ “Top Rank latest promoter to file suit against Al Haymon”. Yahoo.Sports.com (2015年7月1日). 2015年7月28日閲覧。
- ^ “Golden Boy sues Al Haymon for $300M”. ESPN.com (2015年5月6日). 2015年6月23日閲覧。
- ^ “Legal Analysis: Al Haymon “The Rasputin of Boxing” Sued by Golden Boy for Numerous Anti-Trust Violations”. Boxing Insider (2015年5月13日). 2015年6月23日閲覧。
- ^ “Judge dismisses Golden Boy lawsuit against PBC creator Al Haymon”. ESPN.com (2016年1月27日). 2017年2月4日閲覧。
- ^ “Top Rank lawsuit seeks $100M, stoppage of Al Haymon's PBC series”. ESPN.com (2015年7月2日). 2015年7月28日閲覧。
- ^ “Judge dismisses antitrust claims in Bob Arum lawsuit vs. Al Haymon”. ESPN.com (2015年10月23日). 2015年10月31日閲覧。
- ^ “Top Rank Hits Back at Haymon With Amended Complaint”. Boxing Scene.com (2015年11月18日). 2015年11月19日閲覧。
- ^ Top Rank's Bob Arum settles lawsuit with PBC creator Al Haymon ESPN.com 2016年5月20日
- ^ “Fox Signs Four-Year Deal With Premier Boxing Champions – Report”. Deadline (2018年9月4日). 2018年10月8日閲覧。
- ^ “Fox, Premier Boxing Champions announce four-year deal”. ESPN.com (2018年9月6日). 2018年10月8日閲覧。
- ^ “Luis Ortiz Inks Pact With Al Haymon”. Boxing Scene.com (2017年3月29日). 2017年4月6日閲覧。
- ^ Artur Beterbiev-Enrico Koelling purse bid won by Top Rank ESPN 2017年7月26日
- ^ “Luis Nery Signs With PBC, Tabbed To Return on Spence-Garcia”. Boxing Scene.com (2019年1月25日). 2019年2月19日閲覧。