スノーモービル
スノーモービル(英語:snowmobile、スノーモビル)とは、1人または2人乗りの小型雪上車である。積雪地域の日常的な交通手段として用いられるほか、スキー場を始めとする雪山での監視や捜索救難、冬季のアウトドア・レジャーなどにも広く用いられる。
概要
操舵装置として前部にそりを、駆動装置として後部に無限軌道(トラックベルト)を備えている。跨座式の座席と棒形のハンドルを備え、乗員の乗車姿勢はオートバイなどの乗り物に近い。雪や氷の上を走行できる。エンジンは90cc前後から1,000cc近くの排気量機種まで存在する。実能を重視した車種も製品化されている。
歴史
カナダのジョセフ・アルマン・ボンバルディアは、1922年にゴム製の無限軌道(トラックベルト)を駆動装置とし、そりによって操舵する現代のスノーモービルの基本構造を備えたものを開発した。1936年に製品として完成させ、翌1937年から「B7」と名付けられたスノーモービルの販売を開始している。このため、ボンバルディア社が本拠を置くカナダ・ケベック州は「スノーモービル発祥の地」と呼ばれることがある。
軍用スノーモービル
20世紀初頭のロシア帝国では、無限軌道ではなくプロペラによって推進される動力ソリ『アエロサン』が独自に開発され、犬ぞりに代わる冬季間の移動手段として用いられていた。
第一次世界大戦および第二次世界大戦では軍用型が開発され、中には機銃や軽装甲まで装備した武装型までもが、冬季、氷雪上という運用上の大きな制限こそあったが、実用化されていた。
アエロサンは現在も運用されており、中にはボートとして夏季も使用できる水陸両用型もある。
なお、ソ連軍と対峙していた東部戦線のドイツ陸軍でも類似の雪上車両「タトラV855」が試作されたが、制式採用されなかった。
- ソビエト陸軍 軍用アエロサン(武装スノーモービル)
- ANT-IV
- NKL-16
- NKL-26
- RF-8
- ASD-400 (USSR ASD-400 Heavy assault Aerosan)
- ドイツ陸軍 軍用アエロサン(武装スノーモービル)
- タトラV855
製造メーカー
- ヤマハ発動機(ヤマハ) - オートバイなども製造する日本のメーカー
- ポラリス・インダストリーズ - 富士重工業製エンジン搭載車とロビンマニュファクチャリングUSA[1]製エンジン搭載車を製造するアメリカのメーカー
- BRP Ski-Doo(スキードゥ) - オーストリアのロータックス製エンジン搭載車を製造するカナダのメーカー
- アークティックキャット - スズキ製のエンジン搭載車を製造するアメリカのメーカー
- AD Boivin(ADボワヴァン)(リンク切れ)
- クォンティア - オートバイも製造するスイスのメーカー
過去に生産していたメーカー
- スズキ
- 川崎重工業
- 本田技研工業
- ハーレーダビッドソン
- ジョンディア - 農業機械メーカー
- マーキュリー・マリーン - 船外機メーカー
日本の法規における扱い
道路交通法施行規則によるとカタピラを有する自動車は大型特殊自動車に該当するが、スノーモービルは内閣府告示により普通自動車として扱われる。したがって、公道上を走行する場合は普通自動車免許もしくは、準中型自動車免許、中型自動車免許、大型自動車免許で運転でき、ヘルメットの着用は義務づけられない。
公道以外でスノーモービルを運転する場合は法律上の免許は不要であるが、事故の防止や自然環境を保護を主眼とした講習が行われている[2]。国立公園など、乗り入れを規制された場所に立ち入ると懲役、禁錮や罰金などの処罰を受ける場合がある[3][4]。
現在は型式認定を受けた製品は製造あるいは輸入されていない[5][6]が、2011年の豪雪を機に、大規模な降雪で通行止めになった公道に限り、所管の警察署に届出を行なえば通行を認める例外規定が設けられている[7]。
脚注
- ^ ポラリスと富士重工業の合弁事業(富士重工業 産業機器事業部 沿革より)
- ^ “JSSAの活動” (日本語). 日本スノーモビル安全普及協会. 2011年6月23日閲覧。
- ^ スノーモビル等乗入れ規制区域(自然環境課)
- ^ 森吉山スノーモービル規制について Archived 2011年1月13日, at the Wayback Machine.
- ^ ヤマハ発動機 Q&A 公道を走行出来ますか?
- ^ 日本貿易振興機構 スノーモービルの輸入手続について
- ^ 警察庁交通局 通行止め区間における道路管理のためのスノーモービルの使用に関する留意事項等について