ダラス・バイヤーズクラブ
ダラス・バイヤーズクラブ | |
---|---|
Dallas Buyers Club | |
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監督 | ジャン=マルク・ヴァレ |
脚本 |
クレイグ・ボーテン メリッサ・ウォーラック |
製作 |
ロビー・ブレナー レイチェル・ウィンター |
製作総指揮 |
デヴィッド・L・ブシェル ニコラス・シャルティエ カシアン・エルウィズ ゼヴ・フォアマン ローガン・レヴィ ジョー・ニューカム Tony Notargiacomo ネイサン・ロス ホリー・ウィーアズマ |
出演者 |
マシュー・マコノヒー ジェニファー・ガーナー ジャレッド・レト |
撮影 | イヴ・ベランジェ |
編集 |
ジャン=マルク・ヴァレ マーティン・ペンサ |
製作会社 |
Truth Entertainment Voltage Pictures |
配給 |
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公開 |
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上映時間 | 117分 |
製作国 |
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言語 | 英語 |
製作費 | $5,000,000 |
興行収入 |
$27,298,285![]() $55,198,285 ![]() |
『ダラス・バイヤーズクラブ』(Dallas Buyers Club)は、2013年のアメリカ合衆国のドラマ映画。監督はジャン=マルク・ヴァレ、出演はマシュー・マコノヒー、ジャレッド・レト、ジェニファー・ガーナー、スティーヴ・ザーンなど。1992年に『ダラス・モーニングニュース』の記事で取り上げられたロン・ウッドルーフの実話が基となっている。
あらすじ
1985年ダラス、電気技師でロデオ・カウボーイのロン・ウッドルーフは「エイズで余命30日」と医師に宣告される。当時まだエイズは「ゲイ特有の病気」だと一般的には思い込まれており、無類の女好きであるロンは診断結果を信じようとしなかったが、詳しく調べる内、異性との性交渉でも感染することを知り病気について理解していく。しかし、友人や同僚たちに疎んじられ、徐々に居場所を失っていく。
治療薬のAZTは、当時臨床試験が開始されたばかりだった。AZTの存在を知ったロンは主治医のイヴ・サックスに処方してくれと迫るが、イヴは藁にもすがりたい患者の思いを知りつつも、「安全性が確認されていない薬を処方することはできない」と突っぱねる。その治験に協力していたのが、トランスジェンダーのレイヨンだった。
ロンはアメリカではエイズの認可治療薬が少ないことを知り、効果の高い未承認の治療薬を求めて国外へ向かう。その中でAZTが免疫力を著しく低下させる毒性の強い薬であることを知ると、AZTの使用をやめ、免疫力低下を防ぐために常日頃から愛用していたコカインも断つ。AZTよりも安全性が高く有効な未承認治療薬ペプチドTを入手したロンは、服用により体調が向上するのを実感する。帰国後、ロンは薬を密輸して国内の患者に売れば大きな利益になると考え、レイヨンをビジネスパートナーとして、毎月400ドルの会費の支払いと引き換えに無料で薬を受け取れる会員制のエイズ薬購入団体「ダラス・バイヤーズクラブ」を立ち上げる。当初こそ金儲けが目的であったものの、自分の運んだ薬によって多くの患者が救われているという事実を認識したロンは徐々に人々への貢献へと意識を向けていき、彼に賛同する人々の手助けを受けながら治療薬を待つ人々のために懸命に薬をかき集めていく。
しかしFDA(アメリカ食品医薬品局)がAZTを認可したことで状況は一変し、AZTの投薬を推奨し始めた医師や製薬会社、そして彼らの違法行為を察知したFDAが立ちはだかる。摘発の末に薬を全て没収されるという憂き目にあい、FDAが掲げた新たな規則の影響で薬が思うように手に入れられなくなり徐々に経営難に陥っていく中、レイヨンが症状の悪化で亡くなる。彼女のかかりつけの病院でAZT治験の受け入れを決めた医師を非難するロンだが、彼女の死にはコカイン依存による免疫力低下も絡んでいた。彼女はロンからの再三の忠告にも拘らずコカインを断つことができなかったのである。怒りと苦悩の中、苦境に立たされながらもロンは私財を投げ打つ覚悟で薬の販売を続け、会費を払えない貧しい患者に対し薬を無償で配るようになる。
財政難の一方でバイヤーズクラブに入会を希望する患者の数は日に日に増加していき、その中にはAZTを服用している者たちが多くいた。そのことを知ったロンはAZTの開発元である製薬会社アボネックスが主催する講演会に乗り込み、エイズ患者に毒性が強い薬を売りつけるアボネックスと事実を知りながら認可したFDAを激しい怒りと共に非難する。同時に会場にいた患者たちにAZTの服用を止めてペプチドTを使うように呼びかけていく。そうしていく内にも多くの患者たちが薬を受けとれぬまま亡くなっていき、ロン自身も徐々に体調が悪化していく。満身創痍状態の中、彼の闘いはFDAを相手取った法廷闘争へと移っていくが、裁判所はロンの怒りを肯定しつつ訴えそのものについては「法的根拠が希薄」との理由で棄却する。法廷闘争自体はロンの敗訴に終わるが、FDAは未承認薬であるペプチドTのアメリカ国内での使用を認める。多くの患者たちに救いがもたらされ、ロンもカウボーイとして念願の復帰を果たすまでに回復する。
余命宣告されてから7年後の1992年。長きに渡る戦いの末にロンはこの世を去っていった。
キャスト
※括弧内は日本語吹替
- ロン・ウッドルーフ - マシュー・マコノヒー(藤原啓治)
- イブ・サックス - ジェニファー・ガーナー(渡辺ゆかり)
- レイヨン - ジャレッド・レト(小倉直寛)
- タッカー - スティーヴ・ザーン(畠山豪介)
- デイヴィッド・ウェイン - ダラス・ロバーツ
- リチャード・バークレー - マイケル・オニール
- セヴァード - デニス・オヘア(石原辰己)
- ヴァス - グリフィン・ダン
- フランシーヌ・サスキンド - ジェーン・マクニール
- レイヨンの父 - ジェームズ・デュモン
- サニー - ブラッドフォード・コックス[4]
- T.J. - ケヴィン・ランキン(菊池康弘)
- ラリー - ローレンス・ターナー
- ネディ・ジェイ - アダム・ダン
製作過程
主要撮影は2012年半ばにルイジアナ州ニューオーリンズで始まった[5]。
2012年11月、本作が映画デビューとなる[4]ブラッドフォード・コックスが、ジャレッド・レトの恋人役を務めることが発表された。

役作りのためにレトは30ポンド、マコノヒーは38ポンド減量した[6][7]。
配給
マーケティング
公開
プレミア上映は2013年9月に第38回トロント国際映画祭で行われた[9]。
アメリカ合衆国では2013年11月1日より劇場公開が始まった[10]。
評価
Rotten Tomatoesでは228件のレビューで支持率は93%となっている[11]。Metacriticでは38件のレビューで加重平均値は84/100となっている[12]。
受賞とノミネート
映画祭・賞 | 部門 | 候補 | 結果 |
---|---|---|---|
ハリウッド映画賞[13][14] | 男優賞 | マシュー・マコノヒー | 受賞 |
ブレイクスルー男優賞 | ジャレッド・レト | 受賞 | |
ゴッサム賞 | 男優賞 | マシュー・マコノヒー | 受賞 |
ミルバレー映画祭 | スポットライト賞 | マシュー・マコノヒー | 受賞 |
ローマ映画祭 | 作品賞 | ノミネート | |
主演男優賞 | マシュー・マコノヒー | 受賞 | |
サン・セバスティアン国際映画祭[14] | セバスティアン賞 | ジャン=マルク・ヴァレ | 受賞 |
第29回インディペンデント・スピリット賞 | 主演男優賞 | マシュー・マコノヒー | 受賞 |
助演男優賞 | ジャレッド・レト | 受賞 | |
第79回ニューヨーク映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | ジャレッド・レト | 受賞 |
第2回ボストン・オンライン映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | ジャレッド・レト | 受賞 |
第39回ロサンゼルス映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | ジャレッド・レト | 受賞 |
第7回デトロイト映画批評家協会賞 | 主演男優賞 | マシュー・マコノヒー | 受賞 |
助演男優賞 | ジャレッド・レト | 受賞 | |
第11回アフリカン・アメリカン映画批評家協会賞 | 助演男優賞 | ジャレッド・レト | 受賞 |
第10回セントルイス映画批評家協会賞 | 主演男優賞 | マシュー・マコノヒー | 次点 |
助演男優賞 | ジャレッド・レト | 受賞 | |
第2回ノースカロライナ映画批評家協会賞 | 主演男優賞 | マシュー・マコノヒー | ノミネート |
助演男優賞 | ジャレッド・レト | ノミネート | |
第71回ゴールデングローブ賞 | 主演男優賞 (ドラマ部門) | マシュー・マコノヒー | 受賞 |
助演男優賞 | ジャレッド・レト | 受賞 | |
第20回全米映画俳優組合賞 | 主演男優賞 | マシュー・マコノヒー | 受賞 |
助演男優賞 | ジャレッド・レト | 受賞 | |
キャスト賞 | ノミネート | ||
第86回アカデミー賞 | 主演男優賞 | マシュー・マコノヒー | 受賞 |
助演男優賞 | ジャレッド・レト | 受賞 | |
メイク・ヘアスタイリング賞 | アドルシア・リー / ロビン・マシューズ | 受賞 | |
脚本賞 | クレイグ・ボーテン / メリッサ・ウォーラック | ノミネート | |
編集賞 | ジャン=マルク・ヴァレ / マーティン・ペンサ | ノミネート | |
作品賞 | ノミネート | ||
第10回おおさかシネマフェスティバル[15][16] | 主演男優賞 | マシュー・マコノヒー | 受賞 |
助演男優賞 | ジャレッド・レト | 受賞 |
備考
参考文献
- ^ "Focus Features Acquires HIV/AIDS Drama ‘Dallas Buyers Club’ Starring Matthew McConaughey." Deadline.com (April 22, 2013).
- ^ “Dallas Buyers Club”. Box Office Mojo. 2013年11月4日閲覧。
- ^ http://www.buyersclubdallas.com
- ^ a b Pelly, Jenn (2012年11月27日). “Bradford Cox to Play Jared Leto's Lover in New Movie”. Pitchfork Media. 2012年11月27日閲覧。
- ^ Kit, Borys (2012年11月6日). “Jared Leto Returning to Acting with 'Dallas Buyer's Club'”. The Hollywood Reporter 2012年11月27日閲覧。
- ^ “'My organs shrank!' Jared Leto admits he 'didn't eat' to lose 30lbs for The Dallas Buyers Club as he shows off healthier frame”. Daily Mail (2013年3月14日). 2013年4月16日閲覧。
- ^ Ellwood, Gregory (2012年11月14日). “Matthew McConaughey reveals how he lost 38 pounds and ponders a 'Magic Mike' sequel”. 2013年4月16日閲覧。
- ^ http://www.nme.com/filmandtv/news/first-trailer-for-dallas-buyers-club-starring-matthew/318229
- ^ “Nelson Mandela biopic to have world premiere at Toronto”. BBC News. 2013年7月24日閲覧。
- ^ http://www.comingsoon.net/films.php?id=45705
- ^ “Dallas Buyers Club (2013)”. Rotten Tomatoes. 2013年11月11日閲覧。
- ^ “Dallas Buyers Club (2013)”. Metacritic. 2013年11月11日閲覧。
- ^ Herndon, Jessica (2013年10月22日). “17th Annual Hollywood Film Awards Honor Julia Roberts, Matthew McConaughey, Sandra Bullock”. The Huffington Post 2013年10月22日閲覧。
- ^ a b “Dallas Buyers Club — Awards”
- ^ “「そこのみにて光輝く」6部門制す おおさかシネフェス”. 大阪日日新聞. (2015年1月31日). オリジナルの2015年2月3日時点におけるアーカイブ。 2015年2月4日閲覧。
- ^ “第10回おおさかシネマフェスティバル受賞者決定!!”. おおさかシネマフェスティバル実行委員会. 2015年1月4日閲覧。
外部リンク
- 公式ウェブサイト(日本語)
- 公式ウェブサイト(英語)
- ダラス・バイヤーズクラブ - allcinema
- ダラス・バイヤーズクラブ - KINENOTE
- Dallas Buyers Club - IMDb(英語)