フラワーパーク

フラワーパーク
第28回マイラーズカップ出走時(1997年3月2日)
欧字表記 Flower Park[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 鹿毛[1]
生誕 1992年5月8日(31歳)[1]
登録日 1994年7月14日
抹消日 1997年12月20日
ニホンピロウイナー[1]
ノーザンフラワー[1]
母の父 ノーザンテースト[1]
生国 日本の旗 日本北海道平取町[1]
生産者 高橋啓[1]
馬主 吉田勝己[1]
調教師 松元省一栗東[1]
厩務員 東郁夫
競走成績
タイトル JRA賞最優秀短距離馬(1996年)[1]
JRA賞最優秀父内国産馬(1996年)[1]
生涯成績 18戦7勝[1]
獲得賞金 3億6393万9000円[1]
勝ち鞍
GI 高松宮杯 1996年
GI スプリンターズS 1996年
GIII シルクロードS 1996年

フラワーパーク(欧字名:Flower Park1992年5月8日 - )は、日本競走馬繁殖牝馬

1996年高松宮杯(GI)、スプリンターズステークス(GI)、シルクロードステークス(GIII)を制し、同年のJRA賞最優秀短距離馬および最優秀父内国産馬に選出された。主戦騎手村山明田原成貴

戦績

当初は1994年秋にデビューする予定であったが、予定していた初戦の直前に骨折し、6ヶ月間を休養に費やした。さらに復帰調教中に再度の骨折が判明し、デビューは予定より1年ずれ込んだ1995年の秋となった[2]

当年の未勝利戦が終わる寸前の10月29日新潟競馬でデビュー。村山明を鞍上に初戦は10着と敗れたが、2戦目で初勝利を挙げた。以後500万下、900万下と条件戦を連勝。明けて1996年には、1500万条件戦を2戦で勝ち上がりオープンクラスに昇格すると、続く陽春ステークスでエイシンワシントンと僅差の2着に入った。

続くシルクロードステークス重賞に初出走する。当日は4番人気の支持を受けると、GI優勝馬のヒシアケボノヤマニンパラダイス等を下し、重賞初勝利を挙げた。走破タイム1分7秒6は京都競馬場1200mのコースレコードタイ。本競走から騎手が田原成貴に替わり、以後引退まで田原が手綱を執り続けた。騎手・田原成貴、調教師松元省一厩務員・東郁夫という陣容はJRA顕彰馬となったトウカイテイオーの競走生活晩年と同じものである。

次走、当年より施行距離が2000mから1200mに短縮され、春の短距離王決定戦としてGI競走に昇格した高松宮杯に出走した。本競走には一貫して中長距離路線を進んできたクラシック三冠馬ナリタブライアンが出走し、「短距離のスペシャリスト対三冠馬」という図式が注目を集めた。当日は中京競馬場の入場人員記録・7万4201人が集まった中で、フラワーパークはヒシアケボノ、ナリタブライアンに次ぐ3番人気に支持された。レースは前半600mを33秒1という早めのペースの中を3番手で先行しながら、直線で抜け出してからは後続を突き離し、2着ビコーペガサスに2馬身半の差を付けて優勝。デビューから7カ月余りでのGI制覇を果たした。走破タイムは1分7秒4のコースレコード(中京1200m)。ナリタブライアンを4着に退け、松元は「やはりスピード勝負ではこちらの方が断然上」と自信を見せた[3](競走詳細については第26回高松宮杯を参照)。

次走・1600m戦の安田記念で9着となった後、休養に入った。秋はCBC賞から始動し、エイシンワシントンから3/4馬身差の2着。次走に秋の短距離GI競走・スプリンターズステークスを迎えた。当日は重賞で初めての1番人気に支持され、レースは逃げたエイシンワシントンをマークする形で2番手を追走。直線では逃げ粘る同馬を追い詰め、最後はほぼ同時にゴールした。12分間の写真判定の結果、ハナ差でフラワーパークが優勝。春秋短距離GI連覇を達成した。その着差は数字に換算して1cmという僅差[4]であり、田原は「一着同着でもよかったのに」と相手の健闘を讃える発言をした。なお、田原はこの競り合いに勝利するため、ゴール寸前で「ゴム毬を素早く握ると、次の瞬間膨張する」という理屈を利用した「奥の手」を使ったと語っている[5]

本競走を以てシーズンを終え、翌1月には当年の年度表彰で最優秀短距離馬と最優秀父内国産馬に選出された。最優秀5歳以上牝馬選出も有力視されていたが、エリザベス女王杯を制し107票を集めたダンスパートナーが受賞し、フラワーパークは49票で次点となった[6]

1997年も現役を続行、引退を予定していた田原成貴は、他に主戦騎手を務めていたマヤノトップガンと本馬に合わせる形で現役を続行した[7]。しかし前年の勢いは失われ、連対(2着以内)も確保できない成績が続き、当年のスプリンターズステークス4着を最後に引退・繁殖入りとなった。

競走成績

以下の内容は、netkeiba.com[8]およびJBISサーチ[9]に基づく。

年月日 レース名 頭数 枠番 馬番 人気 (オッズ) 着順 距離(状態 タイム 3F 着差 騎手 斤量 (kg) 馬体重 勝ち馬/(2着馬)
1995 10. 29 新潟 4歳未勝利 17 7 13 5 (11.2) 10着 芝1600m(良) 1:37.1 (37.3) 0.7秒 村山明 53 490 キョウワグレイト
11. 11 新潟 4歳未勝利 18 4 8 4 (8.0) 1着 芝1600m(重) 1:38.9 (37.8) -0.2秒 村山明 53 488 (サクラミヨシノ)
12. 3 中京 恵那特別 500 16 2 4 5 (10.7) 1着 芝1200m(良) 1:08.8 (35.1) -0.7秒 村山明 53 484 (ヤクモエンジェル)
12. 24 阪神 千種川特別 900 13 5 7 1 (3.2) 1着 芝1400m(良) 1:21.9 (36.6) -0.2秒 村山明 52 480 (ハギノエンデバー)
1996 1. 20 京都 石清水S 1500 16 5 9 2 (4.0) 3着 芝1600m(良) 1:35.9 (35.9) 0.3秒 村山明 54 470 ムツノアイドル
2. 24 阪神 うずしおS 1500 12 8 11 1 (1.5) 1着 芝1400m(良) 1:21.0 (34.5) -0.3秒 村山明 54 472 (ハセイノライジン)
3. 23 阪神 陽春S OP 14 4 6 3 (5.5) 2着 芝1200m(良) 1:08.5 (33.8) 0.2秒 村山明 53 466 エイシンワシントン
4. 28 京都 シルクロードS GIII 13 5 8 4 (5.0) 1着 芝1200m(良) 1:07.6 (33.7) -0.1秒 田原成貴 54 468 ドージマムテキ
5. 19 中京 高松宮杯 GI 13 7 10 3 (5.6) 1着 芝1200m(良) R1:07.4 (34.1) -0.4秒 田原成貴 55 468 ビコーペガサス
6. 9 東京 安田記念 GI 17 2 4 5 (10.5) 9着 芝1600m(良) 1:33.8 (35.7) 0.7秒 田原成貴 56 464 トロットサンダー
11. 23 中京 CBC賞 GII 14 1 1 2 (4.2) 2着 芝1200m(良) 1:07.4 (34.3) 0.1秒 田原成貴 57 488 エイシンワシントン
12. 15 中山 スプリンターズS GI 11 8 11 1 (2.3) 1着 芝1200m(良) 1:08.8 (35.2) 0.0秒 田原成貴 55 472 (エイシンワシントン)
1997 3. 2 阪神 マイラーズC GII 14 7 11 2 (4.2) 4着 芝1600m(良) 1:35.3 (35.9) 0.3秒 田原成貴 57 476 オースミタイクーン
4. 20 京都 シルクロードS GIII 16 5 10 1 (1.4) 4着 芝1200m(良) 1:07.6 (33.8) 0.7秒 田原成貴 57 476 エイシンバーリン
5. 18 中京 高松宮杯 GI 18 6 12 1 (2.2) 8着 芝1200m(良) 1:08.9 (34.8) 0.9秒 田原成貴 55 480 シンコウキング
10. 25 京都 スワンS GII 16 6 11 7 (15.0) 6着 芝1400m(良) 1:21.3 (34.8) 0.6秒 田原成貴 57 490 タイキシャトル
11. 22 中京 CBC賞 GII 15 5 9 4 (4.6) 4着 芝1200m(良) 1:09.0 (35.5) 1.1秒 田原成貴 57 488 スギノハヤカゼ
12. 14 中山 スプリンターズS GI 16 1 1 3 (9.4) 4着 芝1200m(良) 1:08.8 (35.6) 1.1秒 田原成貴 56 476 タイキシャトル

繁殖牝馬時代

引退後は馬主の吉田勝己が経営に参加する白老ファームで繁殖牝馬となった。2006年から2007年にかけてオーストラリアに一時輸出され、現地の人気種牡馬リダウツチョイスを受胎した後に帰国している。2013年の出産を最後に繁殖牝馬を引退し、平取町のスガタ牧場で余生を送っている[10]。繁殖引退後の2015年2月、第7仔ヴァンセンヌ東京新聞杯に勝利し[11]、産駒が重賞初勝利を挙げた。

2023年3月にウイニングチケットが死亡したことに伴い、2023年4月現在で存命最年長のJRA・GI競走優勝馬となっている。

産駒一覧

  生年 馬名 性別 毛色 父馬 戦績
初仔 1999年 インフィオラーレ 鹿毛 トウカイテイオー 1戦0勝
2番仔 2001年 フィレンツェ 黒鹿毛 サンデーサイレンス 35戦5勝
3番仔 2002年 フローラルパレス 鹿毛 10戦1勝
4番仔 2004年 メイカ 鹿毛 ダンスインザダーク 22戦2勝(うち地方1戦0勝)
5番仔 2006年 パラディーゾ 鹿毛 4戦1勝
6番仔 2008年 クリアンサス 鹿毛 Redoute's Choice 16戦3勝
7番仔 2009年 ヴァンセンヌ 鹿毛 ディープインパクト 16戦6勝(種牡馬
8番仔 2011年 フラワーパークの2011 鹿毛 ゼンノロブロイ (デビュー前に死亡)
9番仔 2013年 レッドミモザ 鹿毛 キンシャサノキセキ 1戦0勝

血統表

フラワーパーク血統ハビタット系 / Hyperion5×5=6.25% Lady Angela4×5=9.38%(母内) (血統表の出典)[§ 1]
父系 ハビタット系
[§ 2]

ニホンピロウイナー 1980
黒鹿毛 日本
父の父
*スティールハート
Steel Heart 1972
鹿毛 アイルランド
Habitat Sir Gaylord
Little Hut
A.1. Abernant
Asti Spumante
父の母
ニホンピロエバート 1974
鹿毛 日本
*チャイナロック
China rock
Rockefella
May Wong
ライトフレーム *ライジングフレーム
グリンライト

ノーザンフラワー 1977
鹿毛 日本
*ノーザンテースト 1971
栗毛 カナダ
Northern Dancer Nearctic
Natalma
Lady Victoria Victoria Park
Lady Angela
母の母
*ファイアフラワー
Fire Flower 1972
鹿毛 アイルランド
Dike Herbager
Delta
Pascha *セントクレスピン
Easter Gala F-No.1-n
母系(F-No.) 1号族(FN:1-n) [§ 3]
5代内の近親交配 Lady Angela4×5、Hyperion5×5、Dante・Sayajirao5×5 [§ 4]
出典
  1. ^ JBISサーチ フラワーパーク 5代血統表2017年8月30日閲覧。
  2. ^ netkeiba.com フラワーパーク 5代血統表2017年8月30日閲覧。
  3. ^ JBISサーチ フラワーパーク 5代血統表2017年8月30日閲覧。
  4. ^ netkeiba.com フラワーパーク 5代血統表2017年8月30日閲覧。
  • 父ニホンピロウイナーは競走馬時代に短距離部門の年度表彰を3年連続で受賞している。母ノーザンフラワーは不出走馬だが、その半弟(フラワーパークの叔父)に重賞2勝を挙げたダイナカーペンターがいる。なお、本馬の生産は高橋啓牧場であるが、ノーザンフラワーは社台ファームからの預託馬であった。
  • 妹の仔にシルクロードステークス勝ちのエムオーウィナーがいる。

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q フラワーパーク”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年8月22日閲覧。
  2. ^ 『優駿』1996年6月号 p.148
  3. ^ 『優駿』1996年7月号 p.145
  4. ^ 『優駿』1997年2月号 p.139
  5. ^ 田原(1998)p.193
  6. ^ 『優駿』1997年2月号 p.16
  7. ^ 田原(1998)pp.197-198
  8. ^ フラワーパークの競走成績”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年8月22日閲覧。
  9. ^ フラワーパーク 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年8月22日閲覧。
  10. ^ 2014年10月 ~フラワーパークを訪ねて~”. 引退名馬(meiba.jp). 2015年2月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年2月8日閲覧。
  11. ^ 【東京新聞杯】ヴァンセンヌ4連勝で重賞初制覇!”. SANSPO.COM (2015年2月8日). 2015年2月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年2月8日閲覧。

参考文献

外部リンク