レオパルト2
ドイツ陸軍のレオパルト2A7
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性能諸元 | |
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全長 | 10.93m |
全幅 | 3.74m |
全高 | 3.03m |
重量 | 59.7t(A5) |
懸架方式 | トーションバー方式 |
速度 | 72km/h |
行動距離 | 500km(整地) |
主砲 |
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副武装 | MG3A1 7.62mm機関銃(同軸×1、対空×1) |
装甲 | 複合装甲 |
エンジン |
MTU・MB 873ka-501・V型12気筒液冷4ストロークターボチャージドディーゼルエンジン 1,500馬力/2,600rpm |
乗員 | 4名 |
レオパルト2(Leopard 2/Leopard Zwei)は、西ドイツが開発した第3および第3.5世代主力戦車である。製造にはクラウス=マッファイ社を中心に複数の企業が携わっている。
開発の経緯
レオパルト1は、1965年に登場したが、そのころからソ連戦車の進歩に対応するため、120mm滑腔砲を採用した強化版が検討されていた。しかし、これはアメリカとのMBT-70の共同開発プロジェクトを推進するためにキャンセルされた。そのドイツ版KPz-70は革新的な設計であったが、計画よりコストが増加し、西ドイツ(当時)は1969年にプロジェクトから撤退した。
これに遡る1966年、前年に運用開始されたレオパルト1をKPz-70のレベルに性能向上させる金メッキのレオパルトプロジェクトが、ポルシェ社に発注された。この計画は2年で期限満了となる予定だったが、KPz-70開発の先行きに不安が生じており、カイラー(Keiler)計画として発展し継続されることとなった。1969年から翌年にかけて車体をポルシェ社、砲塔をヴェクマン社が担当した2輌の45t級試作車ET01/ET02が製造され、これは後のレオパルト1A3/A4の物に類似した溶接組み中空装甲砲塔と射撃統制装置を搭載していた。同年のKPz-70計画からの撤退により、これらにKPz-70のコンポーネントを組み込む「エーバー(Eber)」案もあったが、実現していない。
1971年、MBT-70/KPz-70計画は正式に中止となり、ドイツ国防省から新型50t級戦車の開発指示が行われた。その名称はレオパルト2と決定され、元のレオパルト戦車はレオパルト1となった。同年17輌の試作車(PT01からPT17)が発注され、翌年から1974年にかけて納入され、逐次試験が行われた。なお、PT01から05、及びPT11、12は通常鋼を用いて作られ、それ以外は量産型同様の防弾鋼で作られている。
14番試作砲塔は、新しい装甲の形状をテストするために改造され、ほぼ垂直のスペースド・アーマー(中空装甲)の採用と、砲塔後部の弾薬格納庫[1]によってレオパルト1よりはるかに大型の箱型砲塔となった。このように、レオパルト2はしばしば言われるようなチョバム・アーマーではなく、当初は中空装甲を採用した。
試作14号車は、ラインメタルの120mm滑腔砲を採用した。アメリカのM1エイブラムスもやがて同じ砲を採用することとなった。その後、2輌の試作車体と3基の試作砲塔が発注された。20番試作砲塔は105mm砲 L7とヒューズ社の射撃管制装置を装備し、19番試作砲塔は同じ射撃管制装置に120mm砲を装備した。
21番試作砲塔はヒューズ社とクルップ社の共同開発の射撃管制装置と120mm砲を装備していた。
1976年夏に19番試作砲塔と車体が、20番の試作車体と装甲防御をテストするための特殊車両と共にアメリカに送られた。この試作車は簡略化された射撃管制装置を装備していたため、レオパルト2AV(簡略化〈austere〉バージョン)と呼ばれた。同年9月1日からレオパルト2とXM1(M1エイブラムスの試作車)との比較テストがアバディーン性能試験場で開始され、同年12月まで続いた。アメリカ陸軍はレオパルト2とXM1は火力と機動力は同等だが、レオパルト2の装甲はより優れていると報告した(砲は同じ105mm砲 L7を装備していたものと思われる)。今日、成形炸薬弾に対してはこの報告は事実であると判明しており、徹甲弾に対してはレオパルト2の装甲はXM1のおよそ2倍の強度を発揮した(XM1の350mm厚相当に対して650mm厚相当)。
レオパルト2の多燃料対応型ディーゼルエンジンは、騒音は大きかったが発熱量は少なく、より信頼性が高く、燃費も良かった。20番の試作車体は砲塔の代わりにダミーウェイトを取り付けられて試験された。比較テストを終了した車体は全てドイツに送り返されたが、19番の試作砲塔のみ残されて7番の試作車体と組み合わされると共に、ラインメタル120mm砲に換装された。3月までのテストでこの砲はM1エイブラムスの初期型が搭載していた105mm砲 L7よりはるかに優れていると判明し、引き続いて行われたNATO軍の戦車射撃競技会でも同じ結果が確認された。
1977年1月にドイツは3輌の車体と2基の砲塔からなる量産試作車を発注したが、これらは車体前面により強化された装甲を装備していた。競争入札の結果、クラウス=マッファイが生産システム管理を行う主契約社、MaKが副契約社となった。そして1,800輌のレオパルト2が発注され、5つの量産バッチに分けて製造された。最初のバッチは1979年10月25日に納入された。
改修による強化
1980年代後半、KWS(Kampfwertsteigerung=戦闘能力強化)という改良計画が立案された。
計画は三段階あり、
- KWS Iは、既存の44口径120mm滑腔砲を55口径120mm滑腔砲に換装し攻撃力の強化を目的とする。
- KWS IIは、隔壁装甲(Schottpanzerung)あるいは楔装甲(Keilpanzerung)と呼ばれる楔形の空間装甲板を砲塔前面の左右と砲塔側面前部の左右の計4箇所に取り付け(砲塔側面前部の左右に取り付けられた隔壁装甲は、外側に90度以上可動である。これは側面の出っ張りがエンジンを着脱する際に障害になるためである)、更に全周旋回可能な車長用熱線暗視サイトを砲塔上に増設し、防御力と索敵能力の向上を目的とする。
- KWS IIIは、主砲に140mm滑腔砲を採用するかを決める試験的なものである。
開発の末、先行して実用化されたKWS II改良を行った車両はレオパルト2A5となり、レオパルト2A5にKWS I改良を行った車両がレオパルト2A6となった。KWS IIIだが、実際にレオパルト2のプロトタイプ車両にラインメタル社製140mm滑腔砲(NPzK-140)を搭載した試験車両が作られ実験が行われたが採用されなかった(スイス陸軍でも国産140mm滑腔砲をPz 87 Leo(レオパルト2A4)に搭載し実射試験などを行ったという)。
A4までの車両の砲塔正面装甲が垂直面で構成されていたため、避弾経始上の欠陥と揶揄されたが、特殊砲弾技術が発展した今日において主に使用されている戦車砲弾のAPFSDSは、装甲を傾斜させても跳弾しないため避弾経始は過去のものとなったと言える。ちなみにA4までと同様に垂直面を多用した外観を持つ複合装甲の車両には陸上自衛隊の90式戦車がある。
A5以降の改良型には隔壁装甲あるいは楔装甲と呼ばれる楔形の空間装甲が追加されており、防御効果について軍事評論家から諸説が唱えられているものの、真相は不明である。
A5とA6の違いは、44口径120mm滑腔砲から55口径120mm滑腔砲に換装した事による砲身長の延長である。約1.3メートル長くなった事で砲弾の初速が向上し、有効射程が向上した。また、同時に薬室も強化されてより強力な弾薬の使用が可能になっているが、命中精度と砲身寿命は若干低下したとも伝えられている。ドイツ陸軍のA5は全てA6に改良する予定であるという。A6およびA6の改良型はオランダ、ギリシャ、スペインも導入している。
A5およびA6への改良により戦闘能力が強化された事は間違いないと考えられるが、重量増加に伴い機動性や航続距離が低下した。また、55口径120mm滑腔砲に換装したA6では、長砲身の扱いに慣れていない頃は森林や市街地での取り回しの悪さが問題視されて当初の評判はあまり芳しくなかった。
1990年代に入り従来のMTU MB 873に替わり、新型のMTU MT 883を搭載したユーロパワーパックが開発された。これは、新規生産車両だけでなく、改修により既存のレオパルト2への換装も可能となっている。
2000年代には輸出向けにIBD社が開発した追加装甲パッケージAMAP(Advanced Modular Armour Protection)をA4に導入したレオパルト2A4エボリューションが発表された。AMAPは徹甲弾対策のAMAP-B、成形炸薬弾対策のAMAP-SC、地雷対策のAMAP-MおよびAMAP-IED、砲塔上面用のAMAP-R、装甲の内部剥離を抑える内張りAMAP-Lなどで構成され、これらの装備によって全周囲からのRPG-29に耐えるようになるとされている。ラインメタル社は、これに自社製センサーの導入や空調設備の強化、APUの追加などを加えたレオパルト2レボリューションを開発している。前者はシンガポール、後者はインドネシアで採用された他、トルコにもAMAPを使用した改修案が提案されている。
スイスではPz 87 Leo WE、ドイツではレオパルト2PSOという、低強度紛争(LIC)などにおける市街戦などに対応するための最新改良型が開発されている事からも、本車がまだまだマイナーチェンジに耐えうるゆとりを残している事が伺える。
比較
A4 | A5 | A6 / A6M | PSO | A7 | ||||
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全長 | 9.67m | 10.97m | 10.93 m | |||||
全幅 | 3.74m | 3.74 m | ||||||
全高 | 2.99m | 3.03m | 3.03 m | |||||
重量 | 55.15t | 59.5t | 61.7t / 62.5t | 67.0t | ||||
主砲 | 44口径120mm滑腔砲 | 55口径120mm滑腔砲 | 44口径120mm滑腔砲 | 55口径120mm滑腔砲 | ||||
最高速度 | 68 km/h(後進時は31 km/h) | 68 km/h | ||||||
燃料積載量 | 1,160リットル[注 1] | |||||||
潜水深度 | 1.2m(シュノーケル装備時は4.0m) |
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開発形態 | 新規 | 改修 | ||
全長 | 9.87 m | 11.55 m | 9.04 m | 11 m(推定) |
全幅 | 3.71 m | 3.53 m | 3.72 m | 3.70 m(推定) |
全高 | 2.92 m | 3.04 m | 2.66 m | 2.35 m(推定) |
重量 | 約56.5 t | 約62.5 t | 約65 t | 約55 t(推定) |
主砲 | 52口径120mm滑腔砲 | 55口径120mmライフル砲 | 44口径120mm滑腔砲 | 50口径125mm滑腔砲 |
副武装 |
12.7mm重機関銃×1 7.62mm機関銃×1 |
7.62mm機関銃×1 7.62mm機関銃×1 |
12.7mm重機関銃×1 7.62mm機銃×2 60mm迫撃砲×1 |
12.7mm重機関銃×1 7.62mm機関銃×1 |
装甲 | 複合 | 複合+爆発反応+増加 | 複合+増加 (外装式モジュール) |
複合+爆発反応 (外装式モジュール) |
エンジン |
V型8気筒ディーゼル + ガスタービン |
水冷4サイクル V型12気筒ディーゼル |
液冷4サイクルV型12気筒 ターボチャージド・ディーゼル |
水冷4サイクル V型12気筒ディーゼル |
最大出力 | 1,500 hp/2,500 rpm | 1,200 hp/2,300 rpm | 1,500 hp | 1,500 hp/2,450 rpm |
最高速度 | 72 km/h | 59 km/h | 64 km/h | 80 km/h |
乗員数 | 3名 | 4名 | 3名 | |
装填方式 | 自動 | 手動 | 自動 | |
C4I | SIT | BGBMS | BMS | 搭載(名称不明) |
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画像 |
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開発形態 | 新規 | 改修 | |||
全長 | 9.42 m | 10.8 m | 10.8 m | 9.83 m | 10.93 m |
全幅 | 3.24 m | 3.60 m | 3.50 m | 3.66 m | 3.74 m |
全高 | 2.30 m | 2.40 m | 3.30 m | 2.37 m | 3.03 m |
重量 | 約44 t | 約55 t | 約55 t | 約63.28 t | 約67 t |
主砲 | 44口径120mm滑腔砲 | 55口径120mm滑腔砲 | 56口径125mm滑腔砲 | 44口径120mm滑腔砲 | 55口径120mm滑腔砲 |
副武装 |
12.7mm重機関銃×1 7.62mm機関銃×1 |
12.7mm重機関銃×1 7.62mm機銃×1 |
12.7mm重機関銃×1 7.62mm機関銃×1 |
12.7mm重機関銃×1 7.62mm機関銃×1 RWS×1 |
7.62mm機関銃×2 |
装甲 | 複合+増加 (外装式モジュール) |
複合+爆発反応 (モジュール式) |
複合+爆発反応+ケージ (外装式モジュール) |
複合+増加 | |
エンジン | 水冷4サイクル V型8気筒ディーゼル |
液冷4サイクルV型12気筒 ターボチャージド・ディーゼル |
空冷ディーゼル | ガスタービン | 液冷4サイクルV型12気筒 ターボチャージド・ディーゼル |
最大出力 | 1,200 ps/2,300 rpm | 1,500 hp/2,700 rpm | 1,500 hp/2,000 rpm | 1,500 hp/3,000 rpm | 1,500 ps/2,600 rpm |
最高速度 | 70 km/h | 70 km/h | 80–90 km/h | 67.6 km/h | 68 km/h |
乗員数 | 3名 | 4名 | |||
装填方式 | 自動 | 手動 | |||
C4I | ReCS・10NW | B2CS | YeSU TZ | FBCB2 | IFIS |
輸出
1980年代までは輸出は順調ではなかったが、1990年代に入ると冷戦終結に伴う軍縮によりドイツ連邦軍(旧西ドイツ軍)が余剰となったレオパルト2を安価に提供したことから輸出が活発化した。今日では欧州向け輸出に広く成功したことから、事実上の欧州標準戦車と呼ばれるまでになっている。主な理由は、
- 堅実かつ発展性のある設計により使用国独自の改修を施す余地が大きい
- 要望に応じた仕様変更にも対応する柔軟なサポート態勢
にある。新車のレオパルト2A5やレオパルト2A6の輸出も行われているが、ドイツ連邦軍が配備する車両とは細部の仕様が異なる。
オランダはM1エイブラムスについて、コストが高いことと120mm砲の装着を拒否されたことから不採用を決定して、1979年3月2日に445輌のレオパルト2を発注した。ドイツ本国に次ぐ保有国であるが、やはり冷戦終結後の軍縮政策によりドイツと同様に発生した余剰車輌の輸出国となっている。
スウェーデン陸軍が1990年代からStridsvagn.103C(Strv.103C)の後継として購入したStridsvagn 122(Strv.122)は、当初の計画ではA5そのものだったが、購入ののちスウェーデンでの運用思想に合わせて独自改良(A5では見送られた車体前面と砲塔上面に装甲を追加、レオパルト2では初のC4IシステムとなるTCCS(Tank Command and Control System)の搭載)を行った結果、重量が62.5トンに達した。このため機動力は犠牲となるが、スウェーデン仕様車はドイツ連邦軍の装備している通常型のA5やA6よりも優れた防御力を有している。現在では同様の改良を施したレオパルト2A6EX相当の仕様車をギリシャ陸軍(A6HEL)、スペイン陸軍(後述)、デンマーク陸軍(A5DK、A5とA6EXの中間的なモデルで追加装甲は車体前面のみ)も装備している。最近ではレオパルト2A6Mと同様の地雷防御改良を施したStrv.122Bという車両が発表されている。なお、Strv.122配備までのつなぎとしてレオパルト2A4もStrv.121の名称でリースしていたが、装甲工兵車に改造するために買い取られた一部を残して現在は全て返還されている。
スイスは1983年8月24日に35輌を発注し、1987年12月には345輌の追加ライセンス生産を始めた。Panzer.87 Leopard(Pz.87 Leo)として配備されており、車体後部に大型のマフラーが取り付けられているのが特徴的である。現在はPz.87 Leo(レオパルト2A4)を基にPanzer 87 Leopard Werterhaltung(Pz.87 Leo WE)と呼ばれる改良型を独自に開発した。隔壁装甲(ショット装甲)とは異なり、APFSDSに対する防御力を持った強固な垂直の増加装甲を砲塔前面および側面に装着しており、砲塔部の防御力はA5やA6よりも優れている。車体底面にはレオパルト2A6Mと同様の物と考えられる地雷防御改良が施されている。装填手用ハッチ後方には全周旋回可能な遠隔操作式銃架を設置し、12.7mm重機関銃を据え付けている。
スペインは、1990年代に入りスペイン陸軍が保有する戦車の旧式化の問題を解決するため、それらを一気に置き換える目的でレオパルト2Eを導入することとなった。これに併せて、ドイツ陸軍からレオパルト2A4を乗員訓練のために108両を5年間リースすることも決められた(後にリース中のレオパルト2A4を正式に購入している)。レオパルト2Eのライセンス生産は当初はA5と同仕様にする計画だったが、導入計画中にA6が登場したため、仕様をA6と同等に変更して生産・導入されることとなった。製造は最初の30両をKMW社が、残りをサンタ・バルバラ・システマス社(現:ジェネラル・ダイナミクス・ヨーロッパ・ランド・コンバット・システムズ)がライセンス生産した。
ポーランドは2002年にレオパルト2A4を導入し、2010年代からはラインメタルとの共同でレオパルト2PLへの改修計画を進めている。その試作車両は2020年5月8日に完成した。
シンガポールは2006年にレオパルト2A4を導入し、2010年にはAMAPパッケージの導入による装甲の強化とネットワーク通信機能の追加を行ったレオパルト2SGへと改修した。
2000年代初頭、カナダは戦車戦力をストライカーMGSに置き換えて廃止することを計画していたが、アフガニスタンに投入したレオパルトC2(レオパルト1のカナダ向け)が効果を発揮したためこれを撤回し、2007年にオランダとドイツから急遽レオパルト2を調達した。その後アフガニスタンの戦訓を取り入れる形で装甲の強化などを施している。
トルコは国産の新型戦車導入までのつなぎとしてレオパルト2A4を導入し、2010年代からはAMAPパッケージの導入などを行ったレオパルト2NGへの改修を計画している。
2007年には、チリ陸軍もマルダー歩兵戦闘車と併せてレオパルト2A4を導入した。
実戦投入と喪失
レオパルト2はKFORとしてコソボに、ISAFとしてアフガニスタンに派遣されており、IEDの被害を受けながらも乗員の高い生存性を示している。
2016年、トルコ軍はシリア内戦に本格介入し越境攻撃・侵攻を開始したが、戦車・装甲戦闘車両専門誌『PANZER』の2017年8月号の54ページにおいて、破壊されて車体前部が大きく吹き飛び、砲塔が外れた状態の同軍のA4の写真を掲載。そのような事態に至った理由として、シリア反政府組織の対戦車ミサイルが後方から車体右中央部に命中、メタルジェットが車体前部左側にある砲弾ラックに到達し、爆発したためとしている[2]。同戦闘では少なくとも10両以上のレオパルト2が失われておりうち半数は対戦車ミサイルの攻撃による。また、数両はISILに鹵獲されている[3][4]。
バリエーション
- レオパルト2AV
- 原型車両。
- レオパルト2A0
- 第1バッチ生産車両。
- レオパルト2A1
- 第2-3バッチ生産車両。
- レオパルト2A2
- 第3バッチに改良した第1-2バッチ生産車両。
- レオパルト2A3
- 第4バッチ生産車両。
- レオパルト2A4
- 第5-8バッチ生産車両。A4以前の車両も改良が行われ全てA4扱いとなっている。

- レオパルト2A5
- A4にKWS II改良を行った車両。隔壁装甲または楔装甲と呼ばれる空間装甲板を砲塔前面および側面に付加。重量は59.7トンに増加。
- 射撃管制装置を改良し、車長用ハッチ後方に全周旋回可能な車長用サイトを増設した事によりハンターキラー能力を獲得した。
- レオパルト2A6
- A5にKWS I改良を行った車両。重量は62.56トンに増加。
- 主砲をA5までに搭載されていた44口径120mm滑腔砲から55口径120mm滑腔砲に換装した。
- 2004年に開発したAPFSDSのDM53(LKE II)を採用することで有効射程が向上した(現在は装薬を変更したDM53A1およびDM63を使用)。
- 配備から間もない頃は55口径砲採用に伴う不具合により命中精度が低下していたが、後に是正されて改善されている。
- レオパルト2A6M
- A6の地雷防御強化型。
- 車体底面に対地雷用の装甲板を装着。

- レオパルト2A6EX
- A6の装甲防御強化型。
- 車体前面および砲塔上面に装甲を追加する事で防御力を強化し、空調システムも改善させた。APUとC4Iシステムも導入。
- ドイツでは採用されなかったが、ギリシャのレオパルト2A6HELとスペインのレオパルト2Eのベースとなった。
- レオパルト2PSO
- 国際平和活動における市街戦への対応を目的として設計された型。PSOは"Peace Support Operations"の略。2006年6月に初公開された。
- 主砲は市街地での運用を考慮してか、44口径120mm滑腔砲を装備。砲塔側面後半部およびサイドスカート前半部にRPG-7対策用の増加装甲を装着。車体底面には対地雷用の装甲板を装着。
- 装填手用ハッチ後方に設置された全周旋回可能な遠隔操作式銃架には、40mm自動擲弾発射器、または12.7mm重機関銃、または7.62mm機関銃を据え付け可能。非殺傷兵器を搭載。
- 小型カメラ経由の情報による近接観測能力の向上。主砲同軸にサーチライトを設置。偵察能力を改善。車体前面にドーザーブレードを装着。車両全体への都市迷彩。以上が主な改良点である。
- レオパルト2A7+
- 2A6Mに2PSOの改修内容も採り入れた近代化改修型。
- 重量が67.5トンに増加しており、足回りが強化されている。
- 他にもIFIS統合指揮情報システム、モジュラー装甲、非装甲目標用のHE-FRAG破片榴弾DM11を導入している。
- KMW社製のFLW200 RWSを省略した価格低減版がドイツ本国で採用された。
- ドイツ連邦軍は、保有中のA6仕様全車をA7仕様へ改修したいとする要望を示している。
- 2023年までに、17両がAPSのTROPHYを搭載する予定である。
レオパルド2A7V
2016年6月、KMWはユーロサトリ兵器フェアでLeopard2A7Vの次の開発段階を発表した。砲手用の第3世代熱画像装置、船体の前面にパッシブアーマーが追加され、ギアボックスとサイドトランスミッションの変更により加速が改善され、NBC保護システムが砲塔の背面に再配置されてスペースが確保された。ドライバー用の冷却装置、フロントとリアのドライバー用の昼夜ビジョンシステムSpectus、拳銃の収納器と各機器の搭載コンセプトの適応が施された。将来的に「装甲戦闘能力」イニシアチブの一環として、A7車両の在庫数を20台から104台に増やす予定である。
2017年5月5日、A7Vバージョンの104台のレオパルト2の配送に関する契約が、連邦軍の機器、情報技術および使用局とゼネコンであるクラウス-マッファイウェグマンとの間で署名された。契約価格は約7億6000万ユーロで、主要契約企業の内訳はラインメタルが1億650万ユーロ、MTUフリードリヒスハーフェンが2120万ユーロである。 104台のA7Vに加えて、他のバリエーションの基礎を形成するために保管される32台の2A4シャーシも含まれていいる。調達開始日は2019年から2023年の間と言う計画である。
2019年3月20日、ドイツ連邦議会の予算委員会は、運用とロジスティクスの点でLeopard2A7Vに適応するために、前述の104台に加えて別の101台のLeopard2A6と2A6MをA7Vの設計に匹敵するレベルまで近代化改修することを承認した。併せて、レオパルト2に、新しい戦闘管理システム(BMS)、新しい無線機、および改造された射撃統制コンピューターを導入することも承認した。この101台の改修工事は2026年までに完了する計画であり、この結果、ドイツ連邦軍で使用されるLeopard2A7V(または同等のもの)の数は、計画されている328台のLeopard2のうち205台に増強される。
2021年9月15日、ドイツ連邦軍はレオパルト2A7Vの最初の4両を受領した。
派生型
- ベルゲパンツァー3 ビュッフェル(Bergepanzer.3 BÜFFEL(BPz.3)
- 回収戦車型。ビュッフェル(BÜFFEL)とは"バッファロー"の意。
- レオパルト2の車体に箱型の固定式戦闘室を設置し、ブームクレーンと駐鋤、回収用機材を装備。
- コディアック装甲工兵車(Pionierpanzer.3 Kodiak(PiPz.3)
- 装甲工兵車型。コディアック(Kodiak)とは"アラスカヒグマ(コディアックヒグマ)"の意。
- レオパルト2の車体に箱型の固定式戦闘室を設置、ショベルアームおよびドーザーブレードを装備。ドーザーブレードの代わりに地雷処理装置を装備することも可能。
- コディアックの開発計画は1999年にスウェーデン国防省が出した装甲工兵車の開発要求に基づき、オランダ・デンマーク・スペイン・スイスがそれぞれ協力するという形で開始された[6]。
- スイスとスウェーデンによる開発計画が進められたが、2001年12月には資金上の問題により共同開発が一度行き詰まった[6]。
- 結局この後、スイス軍の要求仕様に基づきスイスのRUAG社とレオパルト2の製造メーカーであるドイツのラインメタル・ランドシステムズ社が開発を行う形でコディアックは完成し、2009年からスイス陸軍への導入が開始された[6]。また、オランダ軍、スウェーデン軍も導入を決めている[6]。
- パンツァーシュネルブリュッケ2(Panzerschnellbrücke.2(PSB.2)
- レオパルト2の車体を流用した架橋戦車。パンツァーシュネルブリュッケ(Panzerschnellbrücke)とは直訳すると"装甲迅速橋"で、野戦用の装甲架橋車両を指す。
- 全長9.7mの橋体3基と架橋装置を装備し、橋体は連結することができ、最大有効長27.7mまでの架橋が可能。
- パンツァーシュネルブリュッケ レグアン(Panzerschnellbrücke Leguan(PSB Leguan)
- レオパルト1の派生型である「ブリュッケンレーゲパンツァー・ビーバー(Brückenlegepanzer Biber)」の後継として開発された架橋戦車。レグアン(Leguan)とは"イグアナ"の意。
- 多種類の橋体を複数搭載可能な架橋装置を装備しており、最大で全長40m、最小で20mの有効長の橋体を架橋できる。
- レオパルト2操縦訓練車(Leopard2 FahrschulPanzer(Leopard2 FsPz)
- ガラス張りの訓練席を持つダミー砲塔を搭載した操縦訓練車型。
- レオパルト2R 装甲工兵車
- フィンランドのパトリア社が開発した、レオパルト2A4の車体を使用した装甲工兵車。フィンランド陸軍が採用した[7]。
- レオパルト2L 架橋戦車
- フィンランドのパトリア社とドイツのクラウス=マッファイ社が開発した、レオパルト2A4の車体にカンチレバー式2分割橋体を搭載した架橋戦車。フィンランド陸軍が採用した[8]。
採用国及び配備モデル
- レオパルト2A4、レオパルト2A5、レオパルト2A6、レオパルト2A7、レオパルド2A7V
- レオパルト2A4
- レオパルト2A5NL、レオパルト2A6NL
- レオパルト2A4、レオパルト2HEL(A6EX)
- レオパルト2SG(A4改)
- Panzer 87 Leopard(レオパルト2A4)
- Stridsvagn.121(レオパルト2A4)、Stridsvagn.122(レオパルト2S(A5改)
- レオパルト2A4、レオパルト2E(A6改)
- レオパルト2A4
- レオパルト2A4DK、レオパルト2A5DK(A7へ改修中)
- レオパルト2A4
- レオパルト2NO(A4)
- レオパルト2A4、レオパルト2A6
- レオパルト2A4、レオパルト2A5
- ドイツからの中古。ポーランド国防省は2015年12月に2020年までに2A4の全車両128台を改良型の2PLへと近代化するために、ポーランドの防衛大手PGZの子会社グループに241,500万ズウォティ(612万米ドル)相当の契約を授与した。2017年には更なる購入も検討していると国防省のトマス・スツコフスキ国防副長官が発言している[9][10]。
- レオパルト2A4、レオパルト2A6
- レオパルト2A4
- ドイツからリースされた中古12輌を配備。2020年7月に最初の4輌が到着した。
- レオパルト2A4M CAN、レオパルト2A6M CAN
- レオパルト2RI(A4改)
採用検討国
登場作品
テレビドラマ
- 『ウルトラマンメビウス』
- 第49話に地球防衛隊GUYS所属車両として、インペライザーを迎撃すべく90式戦車とともに登場。
アニメ・漫画
- 『うる星やつら いつだってマイ・ダーリン』
- 面堂家の私設軍隊が保有する戦車として登場。ラムたちを援護するために面堂終太郎が友引商店街付近に呼び寄せ、ルピカの宇宙船を砲撃する。
- 『えびてん 公立海老栖川高校天悶部』
- テレビアニメ第10話に、文化祭の展示品としてレオパルト2を模した形状の天体望遠鏡が登場する。
- 『ガールズ&パンツァー』
- テレビアニメ第7話に、秋山優花里の寝言で登場。
- 『新世紀エヴァンゲリオン』
- 映画『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』に「レオパルド2A7/A10」という架空の派生型が登場。『Air』ではNERV本部に侵攻した戦略自衛隊の車両がEVA弐号機迎撃に用いられ、『序』では国連軍の車両が第3新東京市に迫る第4の使徒を迎撃する。
- 『戦翼のシグルドリーヴァ 狂撃の英雄』
- NATOギリシャ派遣部隊ドイツ戦車連隊の戦車として2A5かA6が登場。核兵器でも傷つけられなかったピラーを至近距離からの砲撃で撃破する。
- 『ハードメタルシリーズ』
- シリーズの一編「夜の豹」に登場。砂漠の海賊「ナイト・レオパルド」の使用車両として、砂中への潜伏機能を持つ架空の改良型が登場する。
- 『FUTURE WAR 198X年』
- 西ドイツ陸軍の戦車として初期型の2A 0型が登場。空軍基地に飛来したソ連特殊部隊を砲撃するほか、東西ドイツ国境での戦車戦でワルシャワ条約機構軍の機甲部隊を迎え撃つ。
小説
ゲーム
- 『Alliance of Valiant Arms』
- 護衛ミッションの護衛対象として登場する。車体上部にラインメタルMG3が1丁備え付けてあり、これを使って攻撃することができるが、主砲は使えない。
- 『DCS WORLD』
- ドイツやノルウェー軍などがA6を使用。『DCS CA』にてプレイアブル車両となった。
- 『Sa・Ga2 秘宝伝説』
- 最高クラスの重火器として物語後半に購入可能。
- 『War Thunder』
- 2017年のエイプリルフールイベントにA5が登場した他
- その後のアップデートで試作型であるLeopard 2Kと量産型であるA4がランクVI、A5がランクVIIに登場する。
- ver.1.97にてスウェーデン陸軍にStrv.121、Strv.122が実装された。
- 『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3』
- ベルリンが舞台のステージで3両登場するが、ビルの倒壊に巻き込まれ、全滅してしまう。
- 『大戦略シリーズ』
- ドイツもしくはD国の装備として登場する。
- 『戦闘国家シリーズ』
- 欧州の基本装備として組み込まれる。
- 『バトルフィールドシリーズ』
- 『BF2』
- EUの戦車としてA6が登場する。何故か車載機銃にMG3ではなくM2重機関銃が搭載されている。
- 『Project Reality(BF2)』
- ドイツ連邦軍とカナダ軍の主力戦車(MBT)としてA6が登場する。
- 装備はPERI-R17A2・EMES-15の2種の暗視装置、MZWA スモークモーター、A6 55口径120mm滑空砲(DM63 APFSDS弾・DM121 HEATMPT弾)、MG3A1 7.62mm同軸機銃、MG3A1 7.62mm重機関銃。
- 『BF2MC』
- EUの主力戦車としてA5が登場する。『BF2』同様、何故かM2重機関銃が搭載されている。
- 『エースコンバットシリーズ』
-
- 『エースコンバット6 解放への戦火』
- エメリア共和国陸軍の運用する主力戦車の車体として採用されている。ただし砲塔はチャレンジャー2のものが搭載されている。また、本来チャレンジャー2が搭載している砲はライフル砲だが、本作に登場する車両は滑腔砲を搭載している。
- 『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』
- オーシア国防陸軍がM1エイブラムスと共に運用している。外見からA5以降の型であるのが分かる。
脚注
注釈
- ^ 非戦闘時においては、900リットルに制限
出典
- ^ (英語) r/TankPorn - Tank loader working hard at the simulator. 2020年5月8日閲覧。
- ^ 毒島刀也「特集 レオパルト2」『PANZER』第632号、アルゴノーツ社、2017年6月27日、 54頁。
- ^ “ISIS claimed it captured Turkish Leopard 2A4 main battle tanks in Syria”. Defense Blog. (2016年12月22日). オリジナルの2016年12月23日時点におけるアーカイブ。 2016年12月22日閲覧。
- ^ “Islamic State: We captured Turkish tanks in Syria battle” (2016年12月22日). 2016年12月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月21日閲覧。
- ^ http://www.altair.com.pl/news/view?news_id=11831
- ^ a b c d army-technology.com Kodiak Armoured Engineer Vehicle (AEV3)
- ^ [1]
- ^ [2]
- ^ Inspektorat Uzbrojenia ogłosił przetarg na wykonanie modernizacji czołgów Leopard 2A4. Prace mają być wykonane w latach 2014-2019.
- ^ Poland is looking to boost its fleet of preowned Leopard tanks