助教

助教(じょきょう)は、日本高等研究教育機関において、学生に対する教授、研究指導、または自らの研究に従事する教員のことであり、2007年4月1日学校教育法改正施行により正式に導入された。教授准教授に次ぐ職位にあたる。英文名称は、文部科学省の資料において「公定の英文名称は定めないが、各大学で定める際には米国の職位も参考にするように」としている。

資格と職務

資格

助教の資格は、大学設置基準によって以下のように定められている[2]

(助教の資格)

第16条 助教となることのできる者は、次の各号のいずれかに該当し、かつ、大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者とする。

  1. 第13条〔教授の資格〕各号又は第14条〔准教授の資格〕各号のいずれかに該当する者
  2. 修士の学位(医学を履修する課程、歯学を履修する課程、薬学を履修する課程のうち臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とするもの又は獣医学を履修する課程を修了した者については、学士の学位)又は学位規則第5条の2に規定する専門職学位(外国において授与されたこれらに相当する学位を含む。)を有する者
  3. 専攻分野について、知識及び経験を有すると認められる者

職務

助教の職務について、学校教育法第92条の8号では、「専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の知識及び能力を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する」と定めている[3]。助手とは異なり、教授や准教授の研究、講義を補助する義務はなく、講義ができる専任教員としてカウントされる[4]。ただし、理系など一部の学問分野では、単独で講義を担当できない大学もある。

待遇

2007年4月をもってそれまでの助手が助教に移行した際、大学によって、給与面での待遇が据え置かれるケースと、(将来の専任講師の職位廃止を見越して)専任講師と同等に引き上げられるケースとに分かれた[5]

また、この移行に際しては、本来、助教の資格・能力を有する助手であっても、任期付きに同意すれば助教になれるが、同意しない場合は「新助手」とするとした大学があり、一部で問題視された[6]。この例に限らず、(いわゆる「万年助手」を防ぐために)再任1回の5年などの任期制による任用が一般的となっている。なお、一部の大学では、任期後に、研究業績に基づく昇進審査を行い、及第した者に対してテニュア(教授や准教授としての終身在職権)を与えるテニュア・トラックの制度も導入されている。

テニュア・トラックの標準モデルは、「博士号を取得した30歳前後の若手研究者を対象に大学が10~20人を選抜し、1,000万円ほどの資金を支給して自分の研究室と専任スタッフを持たせる。以後、年1,000万円ほどの研究費を5年間支給したうえで、昇進審査をする」[7]というものである。

過去の用例

明治期、教授、教諭などを補佐する職として助教の語が用いられていた。たとえば、設立当初の東京大学では、「教授」と「教員」の間に「助教」がおり、授業を担当していた[8]。また戦前における中学などの代用教員を助教といった。

江戸時代にも助教が見られる。熊本の藩の医学校である再春館の制度で教授の下に助教がある。その説明として、医学助教 凡掌館内代教授先生之事故、疾病。以助講説教育之事。とある。助講ともいったようである[9]

さらにさかのぼると、助教は、古代律令制期の大学寮明経道において、明経博士(みょうぎょうはかせ。定員1名)を補佐して経書を講義する令外官の名称である(定員2名)。なお、この明経博士・助教を補佐するものとして、直講(定員2名)という令外官も置かれていた。

軍学校における助教

軍学校士官学校、飛行学校など)における助教とは、教官(基本的に将校士官)が拝命)を補佐し生徒を指導する立場を指し、曹長軍曹といった長い軍歴を有するベテランの下士官が主に拝命した。基礎訓練や野戦演習などの実践的な部分での教育を担当した。なお、士官学校(本科)の生徒は下士官の階級が与えられる士官候補生幹部候補生であり、時期によっては階級の上では生徒の階級が助教よりも上となることもある。

警視庁における助教

脚注

注釈

出典

  1. ^ 資料2-3 大学等の教員組織の整備に係る学校教育法の一部を改正する法律等の施行について(通知):文部科学省”. www.mext.go.jp. 2022年7月9日閲覧。
  2. ^ 大学設置基準”. 文部科学省. 2023年10月閲覧。
  3. ^ 学校教育法 | e-Gov法令検索”. elaws.e-gov.go.jp. 2022年7月9日閲覧。
  4. ^ 大学設置基準改正要綱
  5. ^ 「大学の新ポスト「助教」はつらい? 待遇面で不満も」『産経新聞』7月11日
  6. ^ 「助教への任期導入問題等に関する要望書」(全国大学高専教職員組合・中央執行委員長 大西広、2006年10月4日)
  7. ^ 「研究者昇進『ガラス張り』に 9大学」『朝日新聞』2006年6月12日
  8. ^ 『東京大学医学部年報. 第6年報』1881年。NDLJP:901635
  9. ^ 肥後医育史 山崎正菫 1929 鎮西医海時報社 p85

関連項目