拳銃

拳銃(けんじゅう)は、片手で射撃するためにデザインされた銃の総称である。小型で携帯性・秘匿性に優れており、主に護身用に使用される。
「けん銃」と表記されることもあり、他に「短銃(たんじゅう)」、「ピストル」とも呼称される。
概要
日本の防衛省では、けん(拳)銃を英語のpistolに対応する語とし、「片手で保持して照準し,弾丸を発射できる銃。」と定義している[2]。
火縄銃が伝来した直後から日本でも製造されており、江戸時代までは短筒、馬上筒などと呼ばれていた。洋式火器が輸入されるようになった幕末から短銃、ピストルと呼ばれるようになり、これらは拳銃と並んで現在も一般的な呼称となっている。
両手で扱う他の火器と比較して、次のような特徴を持つ。
- 小型である
- 銃床を持たず銃身が短く携帯性に優れている[注 2]。各国の警察官も拳銃を携行している事が多い。犯罪者側も隠し持つために有利であるので、大型銃と比較し所持規制が厳しい傾向にある(アメリカでは州により法律が異なるが、自宅に置く「所有」は規制が緩い一方、「携行」は警察官を除き許可を要する州もある)。
- 拳銃弾を用いる
- 緩燃性の装薬を多く用いる小銃弾に比べて、速燃性の装薬を少なく用いる拳銃用弾薬が使われる。拳銃は銃身が短いため銃身内での弾頭の十分な加速が望めず、発射薬の燃焼速度や弾頭重量によってパワーを稼ぐ必要がある。
そのため拳銃弾は小銃弾に比べ短いが口径は大きい傾向にある。結果として近距離で十分な威力を持つが距離による威力減衰が激しい特性がある。 - 片手でも射撃が可能
- 拳銃弾は小型で低威力のため、反動が少なく片手でも使用できる。片手で使用できないものは拳銃の範疇に含めない。ただし片手持ちでは射撃精度が低くなるため、現在は両手で保持する射撃姿勢が主流である[注 3][注 4][注 5]。
名称
「拳銃」とは、英語のハンドガン(英語: Handgun)が日本で意訳された言葉である。「拳」の字が改定前の常用漢字表に含まれていなかったため[注 6]、官庁やマスコミなどでは「短銃」と呼ぶか、または「けん銃」と交ぜ書きにすることが多い。また、暴力団関係者の間では「はじき」、「チャカ」といった隠語で呼ばれている。
この種の「小型で銃身が短く片手で射撃可能な銃」を指すものとして広く用いられる「ピストル」の語は、イタリアのトスカーナ州北部にある都市であるピストイア(Pistoia) に由来するとされ[3] 、1540年頃にこの町に住む銃工カミッロ・ヴィテッリ(Camillo Vitelli)が発明し、それがヨーロッパでこの種の銃を指す「ピストル」の語源になった、という説がある[注 7]。日本語としての“ピストル”は、直接的にはオランダ語(pistool)の発音が語源である。
ただし、米国で単に「ピストル」というと普通は自動拳銃を指し、回転式拳銃は「リボルバー(Revolver)」と呼ばれる[注 8]。
中国語ではhandgunを意訳した「手槍(手枪)」と表記され[注 9]、「全自动手枪(自動式拳銃)」など特徴を併記して分類される。なお回転式拳銃(多膛室手枪)の多くは弾倉が左に飛び出すことから「左轮手枪」や単に「左轮」と呼ばれる。
用途
軍事用途

現代では将校、狙撃手、重火器の操作手、車両および航空機の乗員などに、護身用として自動拳銃が支給されるのが一般的である。対して一般の歩兵部隊ではごく限定的な数が運用されるのみである[注 10][4]。
拳銃は一般的な火器と異なり、ストック(銃床)やフォア・グリップ(前方銃把)の類が存在しない上に、そのものが軽量であるため制動が難しい。そのため、射撃には習熟が必要[注 10][4]な上に、野戦において小銃類に対抗することは不可能に近い。中近距離の戦闘においても、アサルトライフルや短機関銃といった自動火器に比べて、有効射程や発射速度が絶対的に不足しており、不利は免れない[注 11][4]。わずかに室内などの数m以内の近接戦闘で対抗しうる程度である。さらに、小銃弾に比べて殺傷力(ストッピングパワー)が低い上に、現代の歩兵が着用しているボディーアーマーや戦闘用ヘルメットすら貫通出来ない場合が増えている。それに加え用途の限られる拳銃弾の補給は兵站への余分な負担となる。
しかしながら、実用上の不利にも関わらず、副武装(サイドアーム)として未だに拳銃は現役である。つまり、自動小銃や軽機関銃などの主武装を失っても丸腰にならずに済むという心理的充足には、小型で携帯性が高い拳銃が適している。特殊部隊のように特別に訓練・予算が充実している部隊は拳銃の訓練をする場合が増える[注 10][4]。同様に先進国では軍隊の職業軍人化にともなう人員削減によって兵士一人あたりの訓練・予算が増加し、拳銃訓練を施される兵士の割合が増える傾向にある。とはいえ拳銃を携行するのは負担になるため必要な任務に限られることが多い。
- 近世の拳銃
- 火縄銃の時代から存在した。日本では短筒(片手用)、あるいは馬上筒(両手用)と称した。しかし当時の拳銃は、単に火縄銃の銃身を短くしたものに過ぎない。そのため取扱いの手間も火縄銃と全く同じであり、サイズこそ小型であってもポケットや懐に隠し持つ事など不可能な代物であり、現代の拳銃のような護身用に使えるものではない。また、片手で撃てるように反動を減らした場合(前装式なので火薬の量の調整は容易である)威力不足で実用に耐えない場合もあった。
- しかしながら、銃身にライフリングが施されていない当時、銃身を短くした拳銃であっても、命中率は普通の小銃に比べてさほど劣らない利点もあった。
- これらは主に騎兵銃として運用された。上記の馬上筒という名称は、そこからの命名である。伊達政宗は大坂の陣において騎馬鉄砲隊を編成し、後藤基次らを打ち破っているが、真田信繁には敗れている。以降の日本では戦乱が終息したため、これ以降の進歩は途絶えた。
- 一方で西ヨーロッパでは、騎士と呼ばれる重装の槍騎兵が衰退し、三十年戦争ころまでには拳銃で装備した胸甲騎兵が重騎兵の主流になった。三十年戦争においてスウェーデン軍はより軽装にした胸甲騎兵を大々的に運用し、他国でも模倣された。また、銃の点火方式が火縄からフリントロック式に移行すると、懐に隠し持つ事も可能になり、護身用として用いられるようになった。
- 近代の拳銃
- 銃身にライフリングが施されるようになると小銃と拳銃の命中率の差が顕著になった。一方で、金属製のカートリッジと無煙火薬等の発達により銃が軽量化されていくと、小銃より若干銃身が短い程度の騎兵銃であっても、騎兵用としての要求を満たせるようになった。そのため騎兵用の主要装備としては拳銃は次第に用いられなくなっていくが、サーベルや槍を主要装備とする抜刀騎兵/槍騎兵の補助装備として用いられる事はあった。
- 第一次世界大戦までの拳銃
- リボルバーが、そして20世紀初めには自動拳銃が発明され連射能力を獲得した。それに対して当時の小銃はまだ手動装填で連発能力が低く近接戦闘は銃剣に頼っていた。そのため拳銃の有効射程内なら小銃に対して優位に渡り合うことができた。この時期の拳銃は将校や下士官の護身用として存在感のあった時期といえる。
- 第二次世界大戦以降
- 将校下士官の護身用に使用されたが能力不足が目立ち、拳銃弾を補給する負担を減らすという意味もあり、短機関銃やカービンに置き換えられる場合がある。さらには第二次世界大戦末期のアサルトライフルの実用化により主要な兵器として陳腐化するに至った。それ以降も歩兵の防弾装備が発達しており、拳銃弾の威力不足が顕著となっている。
警察・治安維持部隊用途

警察官の基本装備として各国で広く使用されている。かつては安価で扱いやすく信頼性が高いリボルバーが一般的だった。
米国などでは犯人側の重武装化に対して装弾数の不足が目立つようになり、現在ではほぼすべて多弾数のオートマチックへ移行した。豊かな地域や使用機会が多い地域を中心に自動拳銃が主流となりつつあるが、使用機会が希少な日本などの国・地域では、リボルバーは軽量である、管理が容易、薬莢が排出されないなどの理由から主流となっている。また一方、中国の武装警察のように、既存装備のオートマチック拳銃を新開発のリボルバーに切り替える国もある。従前の軍用拳銃の流用では警察用として威力が過大であること、ゴム弾が使用できることが理由という[5]。
信号・照明用
信号拳銃と呼ばれる専用の拳銃が存在しており、軍隊や民間で連絡や遭難時に使用される。
犯罪用途
隠し持てるため、犯罪に多用される。そのため所持規制を課している国家が多い。
市民の自衛用
元は比較的容易に所持登録できたが、1970年代以来、規制が強化されていった。
現在一部の国は市民が自衛用に所有することを認めているが、持ち歩く携帯は別の許可を要する場合が多い。
競技用
射撃競技のピストル種目に使用する。最初から競技用として設計されたものと、既に製造された銃を競技向けに改造したものがある。
狩猟用
拳銃の民間所持が認められている国では、猟銃とともに拳銃を持ち歩くハンターがいる。目的はさまざまで、
- 大型獣に遭遇した時の護身用。通常散弾銃に装填してある散弾をそのまま発射しても獣の突進を止められず、かと言ってスラッグ弾を装填しなおす時間もない場合に、大型拳銃で対処する。
- 動きの速いオオカミや毒ヘビに対して、長い銃身の散弾銃やライフルでは捕捉が困難なため、取り回しのよい拳銃を用いる。
- ウサギや鳥などの小型動物を獲る時に、高価な猟銃弾を節約し、また食べる部分を損なわないように拳銃を用いることがある。
拳銃の種類
拳銃には、単発式・複銃身式・回転式・自動式といった種類に大別される。
単発式・複銃身式拳銃
一本の銃身を持ち、一発の弾薬しか装填できないものを単発式と呼び、単発式の銃身を複数にして連射・斉射できるようにしたものを複銃身式と呼び、前装式銃器の時代から様々な形式のものが作られた。
後に銃身後端を切断して、ここに回転式の弾倉(シリンダー)を付けたものが作られるようになり、これが前装式回転式拳銃へと発展した。
弾丸と火薬を一体にした薬莢が用いられるようになった時代から、これを装填するために銃身部と機関部の間で2つに折って装填できる形式のものが作られるようになり、単銃身〜4連銃身程度のものが製造されてきたが、本数が増えるだけ重量が増すため小型の製品が多かった。
デリンジャーは上下二連銃身の小型拳銃で、中折れ式拳銃の代表例であり、手の平や袖の中に収まるコンシールメント・ウェポン、つまり隠すのが容易で、目立つ拳銃を取り上げられた場合の最後の抵抗手段としても有名である。.41リムファイヤのレミントン・ダブルデリンジャー、.22LRのハイスタンダード・デリンジャーなどがある。
1865年に第16代アメリカ大統領リンカーンの暗殺に用いられたのは、前装式の単発小型銃フィラデルフィア・デリンジャーであり、これが有名となったため、小型拳銃の商品名としてデリンジャーという名称が多用されるようになった。
近年では、銃身と撃鉄を交換するだけで様々な弾丸を撃つことが出来るトンプソン・コンテンダーが、シルエット競技(重い鉄板を撃ち倒す)で人気が高い。
回転式拳銃
リボルバーとも呼ばれる。中に薬室を複数納めたレンコン状の回転式弾倉(シリンダー)を有するのが特徴で、装弾数は一般に5発か6発であるが、近年の金属の熱処理技術の向上や、口径の関係で7〜8発のものもある。 ナガン・リボルバー等一部のリボルバーを除いて、大体は弾倉と銃身の間に隙間(シリンダーギャップ)があるため、発射ガスがそこから放射状に飛散する。このためサプレッサーを付けても効果が限定的である。シリンダーの保持方法によって振出式(スイングアウト)、中折れ式(トップブレイク)や固定式(ソリッドフレーム)等に大別でき、現在最も普及しているのはスイングアウト方式である。
利点として自動式拳銃と比べて構造が単純・堅牢で耐久性を上げやすい。部品数が少なく、保守も容易であり、実包装填時の暴発の危険性が低く信頼性が高い。また、不発が発生した場合も、ハンマーを起こす(シングルアクション)、または引き金を引くだけ(ダブルアクション)で次弾を素早く発射出来る。弾頭の形状・装薬量の変化に作動が左右されないため、大口径で高威力のマグナム弾も作られている。価格も比較的安い。
欠点は装弾数が少ないことや、清掃や保守点検のために分解する際、自動式に比べて手間が掛かることである。弾薬の再装填にも時間を要するが、再装填に関してはスピードローダーという装填器具ですばやく装填できるものもある。現在では自動式に押されつつあるが、個人の護身用、また発砲機会が少ない地域の警察官用としてリボルバーはいまだそれなりの需要がある。
少数ながら回転式の(半)自動式拳銃(オートマチック・リボルバー)も存在する。
自動式拳銃
自動式拳銃とは、射撃時の反動(反動利用式)や火薬燃焼時の薬莢底にかかる圧力及後退動作(ブローバック)を利用し、遊底(スライド、ボルト)と呼ばれる部分を後退させることで、排莢や次弾装填を自動化した拳銃である。9x19mmパラベラム弾以上の威力の実包を使用するほとんどの拳銃は反動利用式(ショートリコイル)の作動機構を持ち、弾頭が発射され、高圧高温の発射ガスが安全圏に下がるまで銃身と遊底は機械的に結合したままである。これに対して.380ACP弾以下の比較的弱装の実包を使用する自動式拳銃は特に機械的な閉鎖機構を持たず、リコイルスプリングの圧力と遊底の慣性質量及び薬莢の靭性によってのみ弾頭が発射されるまでのガス圧をしのぐ(ストレートブローバック、またはシンプルブローバック)。
英語ではオートマチックピストル (automatic pistol)、またはオート (auto) と呼ぶ。世界初の実用自動拳銃であるボーチャードピストルはトグルアクション方式のショートリコイルを採用しており、この機構は後のルガーP08に引き継がれている。
一般的な自動式拳銃は、引き金を引く度に1発ずつ弾丸を発射、排莢、再装填を行う半自動式(セミオートマチック)。引き金を引いたままにすると全自動(フルオートマチック)で発射できるものは「マシンピストル」(後述)と呼ばれ、便宜上は区別される。
利点としては、大半の回転式拳銃に比べて装弾数が多く、かつグリップ内に挿入されている弾倉を交換することで装填が簡単にできるため、連射に向いている。口径にもよるが、7発前後から多いものでは15発以上の弾丸を装填できるものもある。専用のロングマガジンを使うことで、更に装弾数を増やすことも可能である。また、ロングマガジンにグリップ・アダプターという器具をつけて挿入することでホールド感を安定させることもできる。
- 弾倉の種類
- 自動式拳銃の弾倉には、弾丸が1列に収められているもの(シングル・カラム:単列弾倉)と、幅を広げてジグザグに収めるようにしたもの(ダブル・カラム:複列弾倉)があり、後者は銃の大きさをほとんど変えずに装弾数を大幅に増やせることから、近年では幅広く採用されている。但し、銃把(グリップ)が太くなり、欧米人に比べ手の小さいアジア人や女性にはしっかり握りにくい。そのため、自衛隊の拳銃等はシングルカラムマガジンを採用している。
欠点としては、部品数が多く回転式拳銃よりも複雑な動作をするため、整備不良や訓練を受けていない者が扱うと弾詰まりや破損事故を起こしやすい。
マイナーではあるが(半)自動動作する回転式拳銃が存在する。
マシンピストル
マシンピストル (machine pistol) とは、フルオート射撃可能な拳銃サイズの火器の総称である。
セミオートのみの自動拳銃にフルオート射撃機能を追加したものを指す場合と、自動拳銃に近い大きさの小型の短機関銃を指す場合がある。異なる特徴を持つ2種類の銃を指しており、意味の曖昧な名称となっている。
英語の“machine pistol”はドイツ語で短機関銃を指す“Maschinenpistole”の直訳にもあたり、過去にはその英訳語として用いられたが、近年の用法ではドイツ語の意味とは異なり、一般的な短機関銃は含まれない[注 12]。
日本の防衛省では短機関銃、機関短銃、機関けん(拳)銃、マシンピストルの4つをいずれも区別なく英語のsubmachine gunあるいはmachine pistolに対応する語とし、「けん(拳)銃弾を連続射撃する銃。半自動及び全自動の切り換えが可能なものが多い。」と定義している[2]。
自動拳銃にフルオート射撃機能を持たせる試みは、塹壕戦用に拳銃の火力を強化する目的で、第一次世界大戦開戦からまもない1915年頃からドイツで始まった。しかし、高速な発射速度に起因する反動の強さ、集弾性の低さ、装填数の少なさといった欠点があり、塹壕戦用兵器としてはMP18などの短機関銃が主流となった[注 13]。
短機関銃が普及して以降、さらに小型で携行しやすく短時間に強力な弾幕を張ることができる特徴から、要人警護などの特殊用途への使用が見られる。
拳銃にフルオート機能を持たせた「マシンピストル」には、以下の特徴を持つものが多い。
- 反動制御のための着脱式ストックが装備可能[注 14]。
- 装填数を増やした(おおむね20発以上)弾倉が用意されている。
- バースト(2 - 3点射)機能や、発射速度の抑制機構を持つ。
短機関銃を小型化したマシンピストルには、以下の特徴を持つものが多い。
- 反動制御のためのストックは着脱式ではなく銃に固定されているが、小型化のために伸縮式や折り畳み式が多い。
- もともと20発以上の弾倉を使用する。
- 精度よりも火力――集団で来る敵の排除――を重視するため、バースト機能はなく、発射速度が非常に高い(構造的に精度は期待できず、小型であることから必然的に発射速度は高くなる。また、構造を簡単にする要望からそうした機能は求められない)。
自動拳銃をベースとしたマシンピストルの代表例としては、アストラM901、モーゼルM712、H&K VP70、スチェッキン・マシンピストル、OTs-23、OTs-33、CZ 75 FULL AUTO、グロック18、ベレッタM1951R、ベレッタM93R(フルオートではなく3点バースト)などが挙げられる。
マシンピストルサイズとされる小型短機関銃の代表例としては、Vz 61、マイクロUZI、ステアーTMP、MAC10/11、TEC-9、9mm機関拳銃などが挙げられる。
射撃操作
射撃姿勢(スタンス)

きちんとした姿勢で射撃を行わなければ、命中率が下がり、反動を制御できず怪我をする場合もある。
- アイソセレス・スタンス - アイソセレスは二等辺三角形の意。標的に向かっておおむね正対し、ピストルを両手で保持し、両腕と体が二等辺三角形を形作るようにする構え。1980年に開発された持ち方で、さらに発展させた Modern Isosceles という持ち方もある。
- ウィーバー・スタンス - 標的に向かって斜めに立ち、後ろの腕を伸ばしてピストルを握り、前の腕の手を銃把に添える構え。1950年代後半、ロサンゼルス郡保安局の保安官だったジャック・ウィーバーによって開発された持ち方。
- チャップマン - レイ・チャップマンの実用射撃学校(Chapman Academy of Practical Shooting)で開発された、ウィーバー・スタンスの発展型。
- 射撃競技の射撃姿勢
- イン・ライン・スタンス - 射撃競技に見られる姿勢。片手で保持し、銃の銃口から持つ手の反対の肩までが一直線上になる構え方。
- オープン・スタンス - 命中率が下がるがイン・ライン・スタンスの状態から体を若干対象に向けることで頭を横に向け続ける負荷を減らす射撃姿勢。
- 技術
- ファストドロウ(クイックドロウ) - 西部劇で見られるようなファニング (銃)などの技術によって即座に撃つ技術。
- ポイントシューティング - 近距離の標的に対して、照準器を使わずに感覚だけで撃ち込む迅速射撃技術。
- タクティカルリロード - 薬室や使用途中の弾倉にまだ弾薬が残っている状態で、新しい弾倉と交換する手法。建物内の捜索といった緊迫した状況下で、万一の弾切れを予防するための措置。弾倉の交換も一挙動で迅速に行われる。
- ダブルタップ射撃 - 同じ目標に二連射すること。
- モザンビーク・ドリル - 当たりやすい胴体にまずダブルタップ射撃を行い、なおも標的を無力化できなければ、三発目で頭部などの急所を正確に狙い撃つという技術。名称は、ローデシア傭兵のマイク・ルソーが首都の空港で体験した戦訓にもとづくという俗説による。
- タップ・ラック・バン - 自動銃の動作不良時に行う応急対応をまとめた用語。タップは弾倉を軽く叩いて弾薬や弾倉ばねの引っかかりを解く、ラックは遊底やコッキングハンドルなどを操作して薬室に新しい弾薬を送り込む、バンは射撃を再開する。それでも動作不良が再発するようなら、銃や弾倉そのものに破損などの異状が疑われる。もし腔発や遅発が起きた場合には、タップ・ラック・バンを行うべきではない。
- 射撃芸
- 二丁拳銃 - 二丁の拳銃を同時に構えて行う射撃。単発拳銃が主流だった頃には実戦的な射撃法ともされたが、反動制御や精度や取り回しに難があり、現代ではもっぱらパフォーマンスやフィクションでの演出として行われる。
回転式拳銃の射撃操作
回転式拳銃の基本的な射撃操作と、拳銃の挙動は以下の通りだが、競技用拳銃などに操作の異なるものがある。
シングルアクション
シングルアクションとは弾丸を1発撃つごとに手で撃鉄を起こす必要がある銃、または1発撃つごとに手で撃鉄を起こす操作法を指す。
- 弾薬を回転式弾倉に装填し、銃にセットする。
- 撃鉄(ハンマー)を親指で引き起こす。銃内部のばねを圧縮した状態で撃鉄は止まる。
- 上記操作と連動して弾倉が回転し、弾薬が発射位置まで移動したところで弾倉が固定され、発射準備が完了する。この状態をコッキングと呼ぶ。
- 人さし指で引き金を引く。撃鉄が作動して落ち、弾薬の底部にある銃用雷管を叩いて火薬が発火し、弾丸が発射される。
引き金が撃鉄を倒すという1つ(シングル)の動作しかしないことからこう呼ばれる。西部劇で多く登場する。片手撃ちの場合、基本的には親指でコッキングして発射準備をする。
速射する場合には先に引き金を引いたまま、空いている手の親指と小指で掌を扇ぐようにコッキングし連続射撃を行う。この動作をファニング(ファニングのファンとは扇のこと)といい、西部劇などでよく見られる。初期のリボルバーにダブルアクション機構がなかったために生じた連射技だが、実弾射撃の場合は1発発射するごとの反動が大きいので、次弾以降の命中を期するのは難しく、空包を使用した映画やショーならではのパフォーマンスと言える。
ダブルアクション
ダブルアクションとは弾丸の発射に際し、引き金を引くだけで撃鉄が起き上がってから落ち、連続で発射が行える機構やその操作法のことを指す。
- 弾薬を回転式弾倉に装填し、銃にセットする。
- 引き金を引く操作と連動して撃鉄が起こされる。さらに連動して弾倉が回転し、弾薬が発射位置まで移動したところで弾倉が固定され、発射準備が完了する。
- 弾倉の固定とほぼ同時に、引き続けていた引き金が定位置に来た段階で連動していた撃鉄が落ち、弾丸が発射される。
引き金が撃鉄を起こし、さらに倒すという2つの動作をすることからダブルアクションという。引き金を連続して引くだけの簡単な操作で連射できるが、撃鉄を起こす余分な力が必要となるため、引き金を引くのに必要な力(トリガープル)がシングルアクションより大きいことや、引き金を引く距離(トリガーストローク)が長くなり撃ちづらく、命中精度が落ちるなどの欠点もある。
現代のリボルバーの大部分はシングルアクションとダブルアクションの両方の操作ができるようになっているが、ダブルアクション専用のものもある(S&W M40、二十六年式拳銃など)。これは、取り扱いに不慣れな者による暴発事故を防ぐほか、格闘時などに偶然もしくは相手の妨害により、ハンマーと弾丸底部を叩く隙間に異物が挟まることで撃鉄が弾丸底部を叩けなくなったり、異物がクッションとなって雷管が発火せず射撃不能になることを防ぐ意味もある。
撃鉄を起こした状態から射撃を中止する場合、指で撃鉄を押さえながらゆっくり元の位置に戻す操作「デコッキング」の必要があるが、内蔵安全装置を持たない古い時代の回転式拳銃の場合には暴発の可能性があり、危険である。こうした古い時代の回転式拳銃の場合には、撃鉄が起きていない状態でも落下などにより衝撃が加わると暴発する可能性がある(遊戯銃では、実銃にはない安全装置が追加して設けられていることがある)。これを踏まえ、現代の回転式拳銃には引き金を引く操作をしない限り撃針を弾薬に触れさせない、内蔵安全装置が組み込まれている。
自動式拳銃の射撃操作

以下に、一般的な自動式拳銃の操作と挙動を示す。回転式拳銃同様に、シングルアクション、ダブルアクションなどの方式が存在するが、基本的に自動式の場合は2発目以降は撃鉄またはストライカーが発射準備状態になるため2発目以降は回転式でいうシングルアクションの撃鉄が起きた状態となる。そのため、ダブルアクションとシングルアクションの違いは撃鉄が倒れた状態からの最初の1発目の場合にのみ差がある。ただし最近は撃鉄が起きたままで引き金に軽く触れただけで発射されてしまう状態を嫌い、回転式のダブルアクションと同様に毎回撃鉄を起こすダブルアクションで作動するように作られた物が、主に警察関係で採用される傾向がある。
- 弾薬が装填された弾倉を銃に取り付ける。弾倉はばねの力で弾丸を銃の内部に押し上げている。
- 遊底(スライド)をいっぱいに引いて、引く手をはなす。ばねにより遊底は戻り最初の弾薬を薬室(チェンバー)に送り込む。
- 前項のスライドの動作によって撃鉄が起こされ、射撃の準備が完了する。(コッキング状態)
- 引き金を引くと、撃鉄、撃針が作動して弾丸が発射される。
- 遊底が反動(リコイル)で後退し、自動的に空薬莢を排出(排莢)して、撃鉄が起きる。
- 後退しきった遊底がばねの力で戻る。その際、弾倉からせり上がってきた次弾が薬室に送り込まれる。(上記「2.」の手動操作が自動で行われたことになる)
- 半自動(セミオート)拳銃の場合は発射後、撃鉄が起きた状態で動作が止まる。引き金を引いていた指を放すと上記「3.」が終わった状態に戻って1発ずつの発射が可能。全自動(フルオート)拳銃の場合は、引き金が引かれている間は自動的に撃鉄が落ち、「5.」〜「7.」が繰り返されて連続して発射される。
- 弾倉内の弾丸がすべて発射されると、遊底は後端で停止して、機関部が露出した状態になる。これをホールドオープンと呼ぶ。ホールドオープンは射手に弾丸が尽きたことを知らせる。また、弾倉の交換による再装填を高速化する意味もある。ここで射撃を終了する場合は、空弾倉を抜き取り、安全のため薬室内に弾丸が残っていないことを確認する。
- 続けて射撃を行う場合は、ホールドオープンの状態で空弾倉を外し、弾丸が装填された弾倉を取り付ける。
- 遊底を固定しているレバー(スライドストップ)を解除するか、遊底を軽く引いてはなすことで遊底が前進し、弾倉最上部にある弾丸を薬室に送り込む。
上記の例は、あくまで一般的な自動拳銃の挙動である。この段階ではシングルアクションとダブルアクションの違いはない。デコッキング操作などで撃鉄が倒れた状態から射撃を再開する場合、シングルアクションの場合は撃鉄を引き起こす必要があるが、ダブルアクションの場合は引き金を引くだけでよいという違いがある。
大抵の自動拳銃は暴発を防ぐ手動の安全装置を各種備えているが、1970年代以降に設計されたものは安全装置の動作が自動化されており、手動の安全装置を持たない銃も登場している。安全にデコッキングを行うためのレバーも装備している銃が多い。発射の意志を持って引き金を引かない限り、落下などの衝撃が銃に加わっても容易には暴発(不時発射)しない銃が一般化している。
性能
- 弾薬
携帯性と手のみで保持することによる人間の限界から、装薬は少なく弾に与えるエネルギーには限界がある[6]。そのうえ、ライフルなどに比べ銃身が短くなっているため加速にかかる時間が短い。そういった問題を解決するため、口径は他の銃の弾丸より大きくなっている。例として、小銃の弾が7.62mm、5.56mm等に対して、拳銃はだいたい9㎜程度となる。
- 代表例のみ以下に記述、詳細は拳銃弾一覧にて。
- 9x19mmパラベラム弾 - 威力が足りなかった7.65x21mmパラベラム弾の強化版。世界で最も普及している銃弾。
- .357マグナム弾 - 1934年に完成後、拳銃は「マグナムの時代(Magnum era)」に突入した[7]。
- 弾数
- リボルバー - 大抵は5-6発、80年代以降で7-8発、小口径で10発以上。リロード方式としては、回転式拳銃にて何種類あるかの説明があるが、大まかにカートリッジごと交換する以外ではムーンクリップなどのスピードローダーで行う。こういったスピードローダーが発明される前では、バンドリヤーと呼ばれる肩掛けの弾を入れるポケットが大量にある帯や弾を入れるポケットのついた服などから手動で移し替えていた。
- 自動拳銃 - シングルカラム式(単列式)で7-10発、1934年に登場したダブルカラム式(複列式)で15-18発。ダブルカラム式にすると昔の日本人のように小柄だと持ちにくく、ばねが良くないと作れないなどの欠点がある。リロードは、手動で弾を込めるなどはなく弾倉ごと交換する。
※日本の警察には、5発装填ルールというものがあり、ハンマーブロックの無いリボルバー(特にS&W M10配備)の時代にハンマーが誤動作して暴発しないよう、通常携帯時に空薬室を作った状態で保持することとなっていた。平成一三年一一月九日国家公安委員会規則第一三号からは、警察官等けん銃使用及び取扱い規範において「長官が別に定める数のたまを装てん」となっている[8]。
- 射程
有効射程は一般に100m以下で、マンストッピングパワーが期待できる射程は50m以下、命中は10mより短い距離でしか期待できない[6]。
- 命中率
実際に人や獣を狙って発砲した際の命中率については、ニューヨーク市警察が1994年から2000年までに銃撃戦および犯人や犬の無力化のために拳銃を発砲した際のデータがある[9]。
距離 (ヤード) |
距離 (メートル換算)[注 15] |
命中率 (パーセント) |
---|---|---|
0 - 2 | 0 - 2.7 | 38 |
3 - 7 | 2.7 - 7.3 | 17 |
8 - 15 | 7.3 - 14.6 | 9 |
16 - 25 | 14.6 - 23.8 | 8 |
25+ | 23.8+ | 4 |
不明 | - | 2 |
拳銃の所持規制
日本

日本は世界で最も厳しいレベルの銃規制を敷いており、拳銃の所持が許可されるのは、通常の法律において公安的な職務を担う公務員と競技用に限られ、日米地位協定に基づく特殊な例として在日米軍基地の職務がそれらに加わるのみである。例外としては公務員が管理する博物館での展示などに限られる[10]。
- 公安的な職務を担う公務員
- 国際的な規模で行われる競技会の選手またはその候補として日本体育協会から推薦を受けた者
- 日本人警備員 (在日米軍)(日米地位協定により在日米軍基地内は日本法が適用されない)[11]
上記以外の者は銃砲刀剣類所持等取締法違反で処罰される。
かつては日本の郵便配達員も拳銃を携帯していた。これは郵便制度発足当初、人気のない場所で現金書留を狙い、刀を持った強盗が配達夫を襲う事件が多発し、また山中にはニホンオオカミが出たことから、欧州にならい1873年より配達夫にフランス製やアメリカ製の回転式拳銃を携行させたもので「郵便保護銃」と呼ばれていた[12][13](郵便物保護銃規則も参照)。これは警察官がサーベルを持つようになる4年前の事(拳銃は1923年に解禁)であり、法制度上は1948年まで維持された。
日本航空が1962年に北回りヨーロッパ線を開設した際に、北極圏で不時着した際にホッキョクグマに襲われた時の自衛用として機内に拳銃が搭載され、パイロットが射撃の訓練を受けていた[14]。現在では航空機の信頼性が向上したため所持は認められていない。
競技用拳銃の所持
競技人口の少なさから普及しているとは言い難いが日本においても射撃競技用としての所持は可能であり、所持許可を受けている者は自衛官、警察官に多いが若干ながら民間での所持者も存在する。ビームピストル、エアピストル競技で所定の成績をあげた者が対象となるが、公安委員会が日本全国で拳銃を所持できる競技者数を50人に制限している(エアピストルは500人、ビームピストルは許可不要)。
所定の成績であるエアピストル4段の選手が日本には少ないため、50人の上限に対して常に空きがあり、許可申請があれば認められる状態となっている。また、所持が許可されても自宅に保管することは許されず、通常は所轄の警察署の管理下に置かれ、練習や競技時には事情を申告した上で持ち出さなければならない。
古式銃の所持
美術的価値を持つ拳銃に関しては、前述の所持枠に係わらず、所持も可能だが、必ず登録が必要である。「古式銃」として所持が認められるのは1868年(明治元年)以前に製造されたことが証明された銃のみであり、更に現代式実包が使える銃はこの条件を満たしていても認められない。
高知県立坂本龍馬記念館では坂本龍馬が使っていたのと同じスミス&ウェッソンの「No.2 アーミー」を展示したところ、財団法人が施設を管理していたことから高知県警察の指摘により撤去されている[10]。なお同じ高知県にある青山文庫でもNo.2 アーミーを展示しているが、こちらは自治体(佐川町)が管理しているため許可されている[10]。坂本龍馬記念館では職員数名が県の委嘱員となる形で銃刀法の問題を解決し、展示は再開されている[15]。
歴史的な価値があり発射が不可能であれば民間でも保管が認められることもあり、公益財団法人の郵政博物館では発射機能を喪失させたNo.2 アーミーが所蔵されている[16]。
21世紀に入ってからは、コルトM1851 36口径先篭め式拳銃の和式コピー[注 16]が承認された例がある。これはこの形式の弾丸は現在では存在しないので実弾を発砲することは困難である、というのが承認の根拠であったとされる。
旧日本軍将校の遺族が「形見」として故人の銃器を所持していることがあるが、これらも民間人が個人で所持することは違法である。故人が戦前や戦中に入手したものを家人に内密にしたまま所有し続け、死後に遺族に発見される、というケースもある。これらの「遺品拳銃」については各都道府県警察が自主的提出を呼びかけており、これに応じた提出であれば不法所持として摘発される事はない[18]。そのまま警察が廃棄するか、軍刀と同じく自衛隊の広報施設に歴史資料として寄贈することも可能である。
一方、暴力団やその関連組織の拳銃不法所持は毎年摘発事例が記録されており、日本国内における拳銃不法所持の摘発件数の上位を占めているが、近年では一般人の間でも拳銃の不法所持が増加しており、拳銃を用いた事件が多発する原因となっている。
その他の国の規制
製造について
- メーカー
- 国からガンスミスの資格と国ごとの製造資格(アメリカであれば連邦銃火器免許)を取得し、製造の届け出をアルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局等に行って製造する。改造する場合も、新たな銃を作る扱いになるのでメーカーや国家機関に確認が必要になる[19][20]。
- 日本においては武器等製造法に手続きなどが定められており、例外はあるものの、武器製造事業者の資格者が作る武器についての書類を経済産業大臣に提出して許可してもらわねばならない[21]。
- サミュエル・コルト、コルト・ファイヤーアームズ
- ホーレス・スミス、ダニエル・ベアード・ウェッソン、スミス&ウェッソン
- ジョン・ブローニング、ブローニング・アームズ、FNハースタル
- ニコライ・フョードロヴィチ・マカロフ 、イジェフスク機械工場
- シグ・ザウエル
- ヘッケラー&コッホ
- ファブリカ・ダルミ・ピエトロ・ベレッタ
- 非メーカー製
- 自作・密造したものを総称してジップ・ガンという。
- 以下に例を示す
- 2013年に米国テキサス州の非営利団体「ディフェンス・ディストリビューテッド」が3Dプリンターを使用して拳銃を製作するための設計図をインターネットで公開した。この銃は「リベレーター」と名づけられ、設計図をダウンロードすることで3Dプリンターによりプラスチック製の拳銃を作ることが可能である。これにより対面販売と異なり誰でも身元調査なしに銃器を手に入れることが可能で、凶悪犯、テロリスト、精神的に重い病を抱えた人、子どもなども銃を入手できるようになるという懸念が強まっている[22][23][24]。また、作成された銃はプラスチック製であるため金属探知機に感知されず、安全保障面での問題も指摘されている[22]。設計データはのちに削除されたが、YouTubeなどでそういった銃の設計についての画像が公開されている。
- 日本では2014年5月8日、3Dプリンターを使い樹脂で製作した拳銃を警察への届け出なしに所持したとして、川崎市在住の湘南工科大学職員の男性が拳銃の不法所持(銃刀法違反)容疑で逮捕された。警察が男性の自宅を家宅捜索した際、同様の拳銃らしきもの5丁が見つかり押収。そのうちの2つは鑑定した結果、殺傷能力のあるものとみなされた。男性は「拳銃は自宅にある3Dプリンターで印刷し、自分で作ったが、違法だとは思っていなかった」としている[24]。3Dプリンターを使った拳銃の複製品での押収・検挙はこの事件が日本初である。
拳銃一覧へのリンク
- リボルバー
- オートマチック
- その他
- 記載する場合、掲載に値する理由も記載している。
- 磁気信管 - 魚雷用の磁気信管。英語で Magnetic pistol というが、別に拳銃を載せているわけではない。
拳銃の文化
- サタデーナイトスペシャル - 粗悪な銃のこと。土曜の夜に使用頻度が多いことから。
- 西部劇
脚注
注釈
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^ 。拳銃に対して小銃・散弾銃・機関銃等の大型の銃器を、ショルダーウェポン(Shoulder weapon)又はロングガン(Long gun)と呼び、日本ではこれを
長物 ()と訳すこともある。 - ^ そのため、通常は小銃を使用しない空軍のパイロットや歩兵以外の陸軍兵士(無線通信手等、小銃の携帯が困難な者や近接戦闘を行わない砲兵など)、海軍の軍人(特に士官・将校)などに自衛用として支給されることが多い。 貴族が家臣を率いて参陣する制度から漸次近代軍制に移行したかつての欧州では、貴族出身者が通常任ぜられる将校・士官の個人装備は自弁であり拳銃もそのひとつであった。大日本帝国陸軍、大日本帝国海軍もそれに倣い将校・士官は個人装備を自費購入した。現在の自衛隊や警察では全て官給であり、武器の私的所持は認められない。米国の警察では許可を得れば私物を利用できる。
- ^ 両手持ちが必須の大型拳銃も存在するが、稀な例である。
- ^ 以前は連邦や各州・市などの警察学校でも片手撃ちを指導していたが現在は両手撃ちが基本である。ただし、片手撃ちや非利き手撃ちの訓練も必修条件。
- ^ 『拳銃を片手撃ちすると肩を脱臼する可能性がある』というのは銃が身近ではない日本の都市伝説である。拳銃の反動の衝撃は、まず手首、次に肘の関節が受ける事になるので、これらを差し置いて肩関節に衝撃が加わる事はあり得ない。銃床を持つ銃であれば、それが反動で肩関節を強打して肩を脱臼するという事は、あり得ない話ではない。小柄な女性が大型銃を撃った際に、手首を軽く捻挫する位であれば可能性はある。
- ^ 「拳」の字は2010年の常用漢字表改定で追加されており、現在は常用漢字に含まれている。
-
^ なお、これ以外にも「笛」を意味するチェコ語」が起源だとする説など、幾つかの説がある(イタリアの地名を起源とする説には異論も多い)。詳細は「en:Pistol#History_and_etymology」を参照
- ^ 英語版WikipediaのHundgunの項目には、『米国においては銃身と薬室が分離していないもの(主に自動式拳銃)をピストル、回転式拳銃をリボルバー、その総称をハンドガンと呼び分ける場合がほとんどであるが、イギリスではピストルとハンドガンを区分しない場合が多い』と記されている。英語版WikipediaのPistolの項目には『ピストルは拳銃の一種であり、自動式拳銃および複銃身リボルバー(複数の銃身そのものが回転する)がピストルと呼ばれ、一般の回転式拳銃はリボルバーと呼ばれる』と書かれている。両国の一般への普及率の違いから米国では一般人でも大多数がリボルバーとピストルは区別する。(出典:Larry Koller (1962). The Arco gun book. Arco Pub. Co., 2011年1月11日閲覧。)。
- ^ 「枪」には「突く」という意味もあり、小銃は「步枪(歩槍)」と呼ばれる。
- ^ a b c 軍は拳銃に、あえて長い訓練を施すほどの価値がないと看做しており、拳銃が主武器となる兵種以外で、拳銃を携帯するのは特殊部隊など限られた兵士にとどまる。
- ^ 拳銃の戦闘射程は大きく見積もっても50m程度、実戦における有効射程は7m程度とされている。拳銃は単射しかできないので、発射速度も大幅に劣る。
- ^ ドイツ語の“Maschinenpistole”は過去には政治的意味合いなどから突撃銃を意味したこともあるが、現在は突撃銃はSturmgewehrと呼ばれている。
- ^ ドイツ敗戦後のヴェルサイユ体制下で短機関銃の生産・配備は禁止されたが、1930年に中国市場で発生したアストラ社とのモーゼルC96を巡る競争のため、フルオート改造C96を生産する必要に迫られたモーゼル社では、条約違反となる“Maschinenpistole”の名称を避けて“Reihenfeuerpistole”(ライエンフォイヤピストーレ、連射拳銃)・“Schnellfeuerpistole”(シュネルフォイヤピストーレ、速射拳銃)といった言葉を新造している。
- ^ 自動・半自動・回転式にかかわらず、アメリカでは銃身が16インチ(40センチ)以下のライフルは所有そのものが連邦法違反であり、拳銃にストックを付けるとライフルとみなされるため、拳銃にストックを付けると連邦法違反 (Short Barrel Riffle) になる。逆にライフルのストックを取り外したり折り畳んだりしても、定義上は「銃身の長い拳銃」となるため、違法にはならない。
- ^ 原データのヤード表記の距離は整数値の「何ヤード台」という趣旨であるため、メートル換算はその趣旨に合わせる。メートル換算の小数点以下2桁四捨五入。
- ^ 「桜田門外の変」にて大老井伊直弼の襲撃に用いられたとみられるもの[17]。
出典
- ^ “拳銃(けんじゅう)の意味”. goo国語辞書. 2019年12月1日閲覧。
- ^ a b “防衛省規格 火器用語(小火器)”. 2014年12月19日閲覧。
- ^ Online Etymology Dictionary
- ^ a b c d 大波篤司著『図解ミリタリーアイテム』28ページ「兵士全員が拳銃を装備するわけじゃない?」項目
- ^ 中国警察用の最新式拳銃を初公開 (中国網)
- ^ a b 拳銃弾weblio辞典(航空軍事用語辞典++)
- ^ Hawks, Chuck. “The .357 Magnum” (英語). Reloading Information. Guns and Shooting Online. 2019年1月2日閲覧。
- ^ 警察官等けん銃使用及び取扱い規範
- ^ Thomas J. Aveni Officer-Involved Shootings: What We Didn’t Know Has Hurt Us The Police Policy Studies Council p.7
- ^ a b c “竜馬の拳銃、銃刀法違反? 高知の記念館が撤去” (日本語). 日本経済新聞 (2010年8月28日). 2022年2月20日閲覧。
- ^ 『いんちき館 研究分館』「一味違う軍雇用」
- ^ 郵便保護銃 - 郵政博物館が所蔵するスミス&ウェッソンのNo.2 アーミー。
- ^ 郵政博物館がオープン - 丹青社インターネットミュージアム
- ^ 「DC-8 FOREVER—退役記念!JAL DC-8の本」日本航空パイロット編 1987年
- ^ “「龍馬の拳銃」、展示再開…本物は迫力違う”. YOMIURI ONLINE. (2010年10月1日) 2010年10月1日閲覧。
- ^ 郵便保護銃 - 文化遺産オンライン
- ^ 井伊直弼を撃った短銃? 幕末の複製和銃見つかる朝日新聞社、2010年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 遺品拳銃について - 警視庁
- ^ 合衆国法典第18編923(i)
- ^ ATF Rul.2010-10;Revenue Ruling 55-342
- ^ 武器等製造法(昭和二十八年法律第百四十五号)
- ^ a b 「3Dプリンター銃」が米国で物議、規制推進派からは反発の声 - ロイター、2013年3月2日
- ^ 米で波紋、「3Dプリンター銃」開発者に聞く ほぼ100%製造可能「日本からも反響多く」 - 日本経済新聞、2013年5月6日
- ^ a b 3Dプリンターで拳銃製造か 所持容疑で逮捕 - NHKニュースウェブ、2014年5月8日 同5月9日閲覧
参考文献・関連書籍
- ワールドフォトプレス 『ミリタリー・イラストレイテッド4 世界の拳銃』光文社、1984年。 ISBN 4-334-70071-3。
- ジョン・ウィークス、小野佐吉郎 『第二次世界大戦文庫11 拳銃・小銃・機関銃』サンケイ出版、1985年。 ISBN 4-383-02372-X。
- 床井雅美 『最新ピストル図鑑』徳間書店、1993年。 ISBN 4195776546。
- 床井雅美 『ベレッタ・ストーリー』徳間書店、1994年。 ISBN 4198901414。
- 床井雅美 『ワルサー・ストーリー』徳間書店、1995年。 ISBN 4198903018。
- 床井雅美 『最新ピストル図鑑〈Vol.2〉』徳間書店、1996年。 ISBN 4198904936。
- 床井雅美 『現代軍用ピストル図鑑』徳間書店、2002年。 ISBN 4198916608。
- 床井雅美 『現代ピストル図鑑 最新版』徳間書店、2003年。 ISBN 4198919879。
関連項目
- ペッパーボックスピストル(基本的には拳銃史初期のパーカッション式。現代技術をもとに開発された製品もあり。)
- ホルスター、コンシールドキャリー