野球

野球
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打撃を行う打者(デビッド・オルティーズ、当時レッドソックス所属)と捕手および審判(アンパイア)
統括団体 国際野球連盟
起源 (18世紀中頃)イングランドの旗 イングランド
(19世紀)アメリカ合衆国の旗 米国 (現代版)
特徴
身体接触 無(身体接触は規則違反となることが多い)
選手数 9人(DH制を採用する場合10人)
男女混合
カテゴリ 屋外・屋内競技
ボール ボール (野球)
実施状況
オリンピック バルセロナ大会(1992)、
アトランタ大会(1996)、
シドニー大会(2000)、
アテネ大会(2004)、
北京大会(2008)、
東京大会(2021)

野球やきゅう: baseball)は、2つの(基本的には9人編成の)チームが攻撃と守備を交代しながら、各頂点に4つのベースを持つ菱形の区画において得点を競い合うバットとボールを使うスポーツ(英語版)である。「フィールド」や「野球場」、「スタジアム」と呼ばれる場所で行われる。アメリカ発祥のスポーツであり、1845年にアメリカで現在の形・ルールの基礎がつくられ、1869年には最初のプロチームが生まれ、アメリカで有数の人気スポーツとなり国民的娯楽となった。(もとはイギリスからの移民がアメリカに持ち込んだスポーツが元型・祖型になっている、とされる。#歴史

概説

野球は、2つのチームが攻撃と守備を交互に繰り返して得点を取り合い、得点数の多いか少ないかに基づいて勝敗を競う競技である。点数の多いチームが勝利を手に入れる[2]

1チーム9人ずつで構成された2チームが守備側と攻撃側に分かれ、守備側の投手が投げたボールを攻撃側の打者バットで打ち、設置された4つのベース(塁)を反時計回りに進み、一周することで得点を得る。両チームは攻撃と守備をそれぞれ交互に9回ずつ(7回以下ずつの場合もある)行い、その間に挙げた得点の多さを競う[2]

4つのベースは、それぞれ一塁(ファースト・ベース)、二塁(セカンド・ベース)、三塁(サード・ベース)、本塁(ホーム・ベース)と言う。なお、大会やリーグによってルールの細部に相違点があり、たとえば予め定めた以上の一方的展開になった場合や気象条件等により途中で試合を打ち切るコールドゲームの規定、攻撃時に投手と呼ばれるポジションの選手の代わりに攻撃専門の選手を使う指名打者制度の有無、審判員の人数等細かな違いがあり、大会やリーグごとにそれぞれの環境に最適と考えられる制度を採用している。

アメリカが発祥の地および本場であり、アメリカのメジャーリーグベースボール(MLB)が主導している。他の国で行われる野球のルールも、基本的にはアメリカのベースボールのルールを模倣したり、アメリカでルールの修正・変更があれば、たいていはアメリカを「後追い」する形で修正・変更されている。国際大会が開催される場合も、基本的にアメリカのルールが基準になっている。

「baseball(ベースボール)」という名称は、4つのbase(ベース)を使用するという特性を由来としている[2]。なお、日本語の「野球」という名称は、明治期に日本中馬庚が作った和製漢語である(後述)。

本記事では、ベースボール(野球)と、亜種とはしっかり区別して説明する。

亜種

発祥地であり、一番さかんな国であるアメリカのメジャーリーグベースボール(MLB)によって行われているベースボールが世界の野球の基準になっている。これは硬式である。日本でも、プロ野球社会人野球大学野球高校野球において硬式野球が競技されている。

発祥地で本場のアメリカではボールはあくまで硬式である。硬式以外のボールを使うものは「別物」とされている。

野球が変化して生まれたものとして、フィンランドを中心に行われているペサパッロ(フィンランド野球)や、ソフトボールがある。特にソフトボールは女性や子供、高齢者にも楽しめるような競技として国際的に普及している。

日本国内の亜種についても解説すると、日本でも狭義では「硬式」とそれ以外は別物とされている。なお、日本国内において称される広義の「野球」には、硬式球・軟式球・準硬式球の3種類があり、使用するボールによってそれぞれ硬式野球軟式野球準硬式野球とも呼ばれ、それぞれ異なった競技である。なお、競技名・組織名・大会名などにおいて、単に「野球(: baseball)」と称する場合、いわゆる「硬式野球」を指すことがほとんどである。

軟式野球と準硬式野球は、あくまで日本で誕生した日本の競技であり、主に日本国内のみで普及しており国際性はほとんどない。例として、野球発祥の地で本場とも呼ばれる米国において「soft-baseball」などと言っても通常一切通用しない。軟式野球は主に、日本国内の少年野球公立中学校の部活動、レクリエーションなどとして行われる。日本国内だけでは、準硬式野球は運営組織を分類する上で、多くの場合「軟式野球の一種」として扱われている。

なお、正規のルールを勝手に変更して遊ぶ方法は無数にある。たとえば小学生などが友人などと校庭などで勝手に遊ぶ「三角ベースボール」という、ベースを3個で行うやり方もある。ベースも布製のものを用意せず、地面に足で四角形などの「囲み」の線を描いて遊ぶ方法がある。子供というのはたまたま持っている「ありあわせの道具」で「野球もどき」の遊びをするので、たとえばグラブやミットが無ければ素手で遊ぶ。ありあわせのゴムボール、軟式テニスのボール、硬式テニスのボールでも遊ぶ。子供どうしで(合意さえ成立すれば)その場の思いつきでルールをいくらでも変更することも行え、変更のしかたは無数にある。たとえば外野に足で適当に線を引いて「この線より外ならホームランと見なそう」「3イニング(回)で試合終了にしよう」などということをする。これらの亜種については当記事では説明はひかえ、別記事がある場合は別記事で説明する。当記事では本来のベースボールについてのみ解説する。

歴史

野球の起源は明確にはされていないが、イギリスの球技である「タウンボール」がイギリス系移民によってアメリカに持ち込まれた後に変化し、野球として形成されたと考える研究者が多い。1830年代から1840年代に原型が成立した後、主にアメリカの北部で盛んとなり、南北戦争1861年 - 1865年)を機に南部にも伝えられたことでアメリカ全土において人気を博するようになった。19世紀後半を通じてルールに大幅な改良が加えられ、現在の形となった。

1869年には世界初のプロ球団であるシンシナティ・レッドストッキングスが設立され、1871年には世界初のプロ野球リーグであるナショナル・アソシエーションが設立された。このリーグ自体は5年で破綻したものの、1876年にはこれを引き継ぐ形でナショナルリーグが設立され、MLBが成立した。この頃、日本を訪問したアメリカ人によって日本に野球が伝えられた。

規則

投手打者の対戦

2つのチームが攻撃と守備を交互に繰り返して勝敗を競う。ルールは公認野球規則に基づいている。

試合形式

攻撃側は、相手チームの投手が投げたボールを打って、一塁・二塁・三塁・本塁をまわることで得点を得る。守備側は相手チームの走者が本塁に到達しないように打者走者アウトにする。相手チームの選手を3人アウトにできれば、攻撃に移ることができる。攻撃と守備の一巡はイニングと呼ばれる。一試合は9イニングからなり[注釈 1]、得点の合計が多いチームが勝者となる。両者の得点が等しい場合は、延長戦を行う、引き分けとするなどルール体系によって対応が分かれる。

各チームの目的は「より多くの得点を得て、勝つこと」であり、公認野球規則1.05には「各チームは、相手チームより多くの得点を記録して、勝つことを目的とする。」と明記されている。規則書に「勝つことを目的とする」と明確に表記されていることは、野球のルールの際立った特徴の一つでもある。

チーム編成

1チームは選手9人(指名打者制を採る場合は10人)と監督、コーチなどで編成される。試合にはそれ以外にも控え選手がおり、日本のプロ野球では16人、日本の高校野球では9人まで控えとして途中からの試合出場ができる。しかし、一度交代により退いた選手は、その試合中は再び試合に出ることはできない。(交代させずに)守備位置を変えることは可能である[注釈 2]。また、守備位置を交代しても再び交代する前の守備位置に戻ることは可能である。

用具

野球を行うにあたっては、様々な用具が必要であるが、選手が野球を行う上で必要となる用具のうち、代表的なものについて述べる。詳しくは各項目を参照のこと。

ボール

バット

バットは滑らかな円い棒であり、打者が投球を打ち返すための用具である。

グラブ(グローブ)・ミット

グラブ

グラブやミットは、投球、打球、送球を受けるための革で作られた用具である。形状によってミットは捕手用のキャッチャーミット・一塁手用のファーストミットの2種類があり、グラブには 投手用・二塁手用・三塁手用・遊撃手用・外野手用・ある程度まんべんなく使えるオールラウンド向け等、数種類に分類することができる。そのそれぞれについて、右投げ用(左手に着用)・左投げ用(右手に着用)・両投げ用が存在する。グラブはどの形状でもすべてのポジションで使用できるが、ミットに関しては捕手と一塁手の使用についてのみ、公認野球規則の3.04、3.05にそれぞれ規定されている。投手が着用するグラブについては、グラブ全体が一色であり、商標・マーク類は白色・灰色以外であること、グラブにグラブの色と異なるものをつけてはならないことといった制限がある。

スパイクシューズ

野球用の靴でスパイク部分は金属または樹脂を使用している。少年野球では危険なため、樹脂製スパイクを使用している場合が多い。スパイク部分が取り外し可能なものもある。また、ピッチャーが利き足のシューズの先端に、保護革(P革)をつけることがある。これは投球時、ピッチャーが後ろ足(利き手と同じ側の足)でマウンドを蹴りシューズがすり減る事を防ぐため。バッティングでも同じ現象が起きるためか、野手がこの保護革をつけることも多い。

捕手の防具

マスク(面)
前頭部、顔面、喉を保護するために装着する。
プロテクター
肩、胸、腹を保護するために装着する。
ファウルカップ
股間周辺を保護するために装着する。
レガース
膝から足首までを保護するために装着する。

ロージンバッグ(ロジンバッグ)

滑り止めの白い粉が入った袋。主にピッチャーが用い、マウンドに置いてある。打者が使用する場合もあり、ネクストバッタースボックスにも置いてある。

ユニフォーム

同じチームの選手・監督・コーチなど競技に参加する者は、同色・同形・同意匠のユニフォーム野球帽を着用する。原則として全員(少なくとも選手)の背中には背番号をつける。アンダーシャツ、ストッキング、ベルトは同色での着用が必要。スパイクもユニフォームの一部に相当するため、チームで同色にそろえる必要がある。プロ野球においてはプレイングマネージャーやベースコーチに立つ場合を除き監督がユニフォームを着ない場合がある。ボールが胸部に当たると心臓に負担が掛かり倒れてしまう(死亡・重傷事故の例もある)ことがあるので、胸部の部分にパッドを付けることを推奨する。

グラウンド

野球に使われるグラウンドと付帯設備は野球場もしくは球場と称される。4つのベースを結ぶ正方形内は内野と呼ばれ、またその形状から「ダイヤモンド」とも呼ばれる。内野とランナーコーチボックス、ネクストバッターサークルの距離は公認野球規則で決められているが、グラウンドの大きさについては球場によって異なる。「内野」は規則上は正方形内と定められているが、慣習的には内野手が普通の守備行為を行う守備範囲も含める。

ポジション

投手 打者 捕手 一塁手 二塁手 遊撃手 三塁手 右翼手 中堅手 左翼手
野球のポジション図
攻守 日本語での名称 英語での名称 英略字
守備 バッテリー battery
1 投手(ピッチャー) pitcher P
2 捕手(キャッチャー) catcher C
内野手 infielder IF
3 一塁手(ファースト) first baseman 1B
4 二塁手(セカンド) second baseman 2B
5 三塁手(サード) third baseman 3B
6 遊撃手(ショート) shortstop SS
外野手 Outfielder OF
7 左翼手(レフト) left fielder LF
8 中堅手(センター) center fielder CF
9 右翼手(ライト) right fielder RF
攻撃 打者(バッター) hitter
指名打者(DH) designated hitter DH
代打(ピンチヒッター) pinch hitter PH
走者(ランナー) runner
代走(ピンチランナー) pinch runner PR
  • 表中の数字は守備番号を示す。
  • バッテリー(投手と捕手)を内野手の一員とみなす場合もある。

審判員

構成

野球における審判員は、試合の進行や、投手の投球、本塁における判定を主に担当する球審(英: umpire-in-chief; plate umpire)と、各塁における判定を行う塁審(英: base umpires)、必要に応じて外野に外審(英: outfield umpires)を配置する。

一般には球審1名と各塁の塁審3名の4人で審判団を作ることが多いが、重要な試合では外審2名を加えて6人で審判団を作ることもある。試合によっては塁審の人数が2名ないしは1名になることもあれば、球審だけ(塁審なし)で審判を行うこともある。

チャレンジシステム

MLBでは2014年度より審判員に加え、ニューヨークにある映像センターでのインスタントビデオ判定を採用している。監督は審判員の判定に異議がある場合、1試合で2回まで要求することができる。もし、リクエストが成功すると、残りのリクエスト数は減らされない。7回以降は審判も要求することができる[5]。またNPBでも、2018年度よりMLBと同様にビデオ判定を行う「リクエスト制度」が導入されている。

試合の展開

戦略と戦術

野球には数多くの戦略と戦術が生み出された。その一部を以下に記す。詳細はそれぞれの項を参照のこと。

データと野球

野球は、他のスポーツに比べて豊富な記録・統計が取られることから、数値化に適したスポーツであり、19世紀以来、有力選手の各種記録が試合結果と同様にファンに楽しみを提供してきた。

20世紀後半に入ると、それらの記録を統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価やチームの運営・戦略を考察する「セイバーメトリクス」が提唱され、20世紀末以降、本格的に導入するチームが増加している。中でも、2000年代初め頃のオークランド・アスレチックスビリー・ビーンGMの下でセイバーメトリクスを軸とした低予算でのチーム運営によって黄金期を築いたことで広く受け入れられるようになり、この際ビーンが提唱した画期的な戦術は、ビーンの活動の様子を描いたノンフィクション書籍の名をとって「マネー・ボール」として認知されている。

さらに、21世紀に入ると、軍事技術を応用したスタットキャストトラックマンといった計測機材・システムが導入されたことにより、より詳細で精緻なデータ計測・分析の他、選手やボールの動きを数値化することで選手のプレーや能力そのものの改善に繋げることが可能となっており、特にMLBにおいてプレースタイルや戦術の傾向の変化に大きく影響を及ぼしている。

試合展開上の問題点

サイン盗み

第二次世界大戦後、中堅の観客席から望遠鏡を用いて捕手のサインを盗み見し、それをバッターに伝達するという手法が定着した。その後、スコアボード(各チームの各得点などを表示する大きなボード)の裏に潜んだ職員がサインを盗み、何らかのシグナルを送り打者に伝える形が生まれ、1970年代のインディアンスでは球場に設置されたチームロゴである先住民の目が開けば直球、閉じればカーブ、という形で伝達が行われていた[6]。MLB、NPB、日本の高校野球などでもサイン盗みでトラブルになることがしばしばある[7][8][9][10][11]。最近では、メジャーリーグで、アストロズによるサイン盗みが大問題となっている。球団史上初の世界一に輝いた2017年から翌18年にかけてサイン盗みを行っていたとされており、すでにMLBが処分。球団はジェフ・ルーノー前GM(ゼネラルマネージャー)とAJ・ヒンチ前監督を解雇したものの、昨年?[いつ?]もまだ不正行為を続けていたと他球団の選手が指摘するなど、騒動は収束する気配がない。

そのやっかいな問題を解決するために、MLBは、2021年夏には、キャッチャーがピッチャーへ指示を伝えるための電子機器のテストを開始し[12]、2022年のシーズンからその電子機器を正式に導入した[13](それを使いたいバッテリーつまりキャッチャーとピッチャーが使う。従来通りのサインでいいと考えるバッテリーは使わなくてもよい)。キャッチャーの腕にボタンが多数配置された送信専用機を巻き、ピッチャーの帽子の中に小型受信機を配し帽子の小型スピーカーから小さな音量の音声が流れる(他の選手には聞こえないくらい、小さな音が流れる)。

本塁でのクロスプレー

本塁に突入する走者と阻もうとする捕手

捕手と走者の本塁突入をめぐるクロスプレーでは選手の安全のためコリジョンルールが採用されるようになった[14]

各種記録

野球組織

国際野球連盟(IBAF)を中心として、特に野球が盛んなアジア、アメリカを始め、 ヨーロッパやアフリカにも地域単位での連盟・協会が存在する。さらにその傘下に各国の連盟・協会が設置されており、各国内のリーグ運営や活動を統括している。

各地域の野球

世界では主に北米アメリカ合衆国カナダ欧州ではオランダイタリア中南米キューバドミニカ共和国ベネズエラメキシコプエルトリコニカラグアパナマオランダ領アンティルコロンビア東アジア日本大韓民国台湾などで盛んである。とりわけパナマ、キューバ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、ニカラグア、台湾においては、事実上の国技として親しまれている。日本では、国技と呼ばれることは少ないものの非常に人気の高いスポーツであり[15]、野球用語が一般社会でも使用される様がしばしば見受けられる[16]。特に昭和末期までは集客力、放送量、合計視聴数などで他のスポーツの追随を許さない数字を誇る突出したコンテンツであり、しかもその盛況ぶりが当時は世界中で米国との2か国のみに限られていた(米国は既にアメリカンフットボールに人気首位を譲っていたものの、相対的にはなお野球も日本を遥かに凌ぐ巨大産業である)という点でも特異な存在であった。

北米

アメリカ野球学会によると、ジャッキー・ロビンソンがデビューした1947年、アフリカ系米国人選手の割合は全体のわずか0.9%。徐々に比率は増し、62年には10.1%と初めて1割を超えた。81年には過去最高の18.7%に上った。だが、その後は伸び悩み、2005年には9.1%と1割を切り、昨季は6.7%と過去60年で最低に並ぶ数字となった、メジャーリーグでは、有望選手でも多くは高校卒業後にマイナー契約からメジャー昇格を目指すのが基本線。低所得者層のアフリカ系も少なくない中で、「アメリカンドリーム」をつかむには、安月給で移動も過酷な下積みを経験する道のりが待っている[17]

韓国

歴史

近況

韓国では青少年少女の人気スポーツとなっている[18]。1982年のKBOリーグは総観客数143万人だったが、2012年には700万人を突破し[19]、2016年には観客動員数800万人超えを記録。動員数は世界のプロスポーツリーグ上位10位内に入っている[18]。また、プロアマともに数々の国際大会で好成績を残している。その一方で、競技人口自体はさほど多くないのが特徴であり、それはアマチュア野球の段階で行われる少数精鋭化が要因である。

ヨーロッパ

ヨーロッパでは各国でサッカー人気が根強いため野球がことさらに取り上げられることは少ないものの、欧州野球連盟には39か国が加盟しており、その中でイタリアとオランダ、ドイツの3か国ではプロリーグが存在している[20][21]

オランダ王立野球・ソフトボール協会は、野球の問題点を明らかにするためにアンケートを行い「他競技に比べ、運動量が少ない」「専用のグラウンドが必要である」「ルールが複雑である」「人数を集めるのが大変」など数多くの課題が上がり、これらの課題を解決するために野球をより簡略化したスポーツ「BeeBall」を考案した[22]

その他の地域

オーストラリアでは1850年代にアメリカ合衆国から金鉱に来た鉱夫により、野球がもたらされた[23]。1989年に最初のオーストラリアン・ベースボールリーグ(en)が発足したが、11年で終了した。その後2010年からMLB機構も支援する形でオーストラリアン・ベースボールリーグが発足している。

アフリカでは、オーストラリアと類似した沿革を持つ南アフリカで比較的早く野球がある程度の広がりを見せたが、それ以外の地域については普及途上である。詳細はアフリカの野球を参照。

日本国内の「野球」

世界では通用しない日本国内の特殊事情について、節をひとつ割いて、説明する。

プロ野球については、「日本のプロ野球」を参照。

ボール

軟式ボール(左)と、
硬式ボール(右)
2006年以降の公認軟式球

日本では広義の「野球」で用いられているボールには硬式球・準硬式球・軟式球の3種類がある。これは世界では一般的ではない状況である。

硬式球
ゴムコルクの芯をで巻き、牛革や馬革を縫い合わせて作った球。プロ野球や高校野球、中学生のシニア・ボーイズリーグ、小学生のリトルリーグでもこのボールを使って行う。
軟式球
全日本軟式野球連盟が公認したボール。中が空洞になったゴム製の球で、軟球なんきゅうとも言う。中学生以上向けの「M号球」と小学生向けの「J号球」があり、サイズ、重量、反発係数などが調整されている。硬式球に比べて安価で安全性が高いため、日本国内では草野球、少年野球、公園でのキャッチボールなど広く一般的に使われている。なお、表面に彫られたディンプルは桜の花びらを模した形状をしており、ボールの反発係数やサイズは硬式球に近いものとなっている。彫られたデザインは空気抵抗の調節の役に立っている。
準硬式球
軟式球の一種として開発されたものである。大きさやボールの表面は軟式A号とほぼ同じでゴム製だが、内部は硬式球のそれと類似しており、打球感は硬式とほぼ同一である。現在は軟式球H号と呼ばれる。大学野球で多く使われる。
Kボール

バット

材質により木製バットとその他の素材のバットに分けられる。公認野球規則では最大直径7 cm以下かつ全長106.7 cm以下とされているが、少年用や女性用を除くと実際の多くは全長82 - 87 cm程度である。

木製バット
原則として一本の木材を削って作製する。日本のプロ野球を含めて各連盟の公認での制限が無く、どのような試合でも使える。素材はアオダモ、ホワイトアッシュ、メイプル、トネリコなどがある。
金属製バット
アマチュア野球で各連盟が公認した場合に使用する。日本のプロ野球では使用が認められていない。高校硬式野球では重量を900グラム以上とする規定がある。素材はアルミ合金と超々ジュラルミンが主となっている。
繊維強化プラスチック製バット
柔らかい素材を生かして軟式野球で使われるもので、通称「カーボンバット」と呼ばれる。近年では反発力や飛距離を伸ばすため、ウレタンなど複数の素材を組み合わせたハイコンバットと呼ばれるものも多数存在する。中学生の大会では使用不可となっている。
竹製バット
竹材を接着剤によって貼り合わせて加工したもの。基本的には各連盟の公式戦では使えないが、耐久性に優れ、芯をはずして打つと手や腕に強い衝撃が感じられることを生かし、主に練習用として使用される。

野球場

日本においては、硬式野球仕様かつプロ野球の試合で使用される野球場は、本塁より左右両翼およびセンターのフェンスまでの距離について、古い球場では両翼90メートル、中堅120メートル弱の球場が多いが、1980年代以降に建設された球場では両翼99.1 - 100メートル、中堅122メートルを基準としている(野球場・規格の項参照)。

日本の野球場は、本塁から左右翼までの距離が等しい「左右対称」の野球場がほとんどであり、現在のNPB12球団の本拠地の中で左右対称でない野球場はMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島のみである。それに対し、MLBの球団の本拠地となっている野球場は本塁から左翼・右翼までの距離が異なる「左右非対称」の野球場が多く、30球場のうち27球場が左右非対称である[24]

歴史

日本へは、1871年(明治4年)に来日した米国人ホーレス・ウィルソンが当時の東京開成学校予科で教え、その後全国的に広まった。したがって、日本国内の野球の創成期の歴史は、そのまま大学野球の創成期の歴史と重なっている。1903年に米・サンフランシスコで米・カリフォルニア大学バークレイ校名誉教授・小圃千浦(日本国瑞宝章受章者)らによって日系人野球チーム“フジ・クラブ”が誕生し、日米野球交流の礎が作られることになる。

「ベースボール」を、初めて「野球」と日本語に訳したのは、第一高等中学校の野球部員であった中馬庚である(この詳細な経緯は中馬の項も参考のこと)。明治期の俳人で、1889年(明治22年)に喀血してやめるまで捕手として好んで野球をプレイした正岡子規が翻訳したという俗説があるが、子規が自らの幼名である「升(のぼる)」にちなんで「野球(のぼーる)」という雅号を用いていたことが誤解されたものと考えられている。ただし、子規が現在にまで残る野球用語を数多く翻訳したのも事実であり、2002年にはその功績によって野球殿堂入りを果たした。

野球日本代表は世界大会で度々好成績を残している。1996年のアトランタオリンピックでは準優勝、2006年と2009年のWBCでは優勝した。アマチュアレベルでもIBAFインターコンチネンタルカップで2回の優勝と5回の準優勝をしている。メジャーリーグベースボールでは野茂英雄イチロー松井秀喜が活躍の道を開き[25]、現在ではダルビッシュ有前田健太大谷翔平らが活躍している。

なお、沖縄県出身のプロ野球選手の数は片手で数えられるくらいだったが、2010年頃から徐々に人数が増え [26]、現在では出身都道府県別の人口割合でプロ野球選手の輩出が最も多い [27]

日本のアマチュア野球

高校野球の試合
第89回全国高等学校野球選手権大会より)

日本では、社会人野球学生野球大学野球高校野球)がそれぞれ独立して運営されている。1990年全日本アマチュア野球連盟が発足し、社会人と学生との間で日本代表チームメンバーの派遣調整にあたるようになったが、あくまで連絡機関であり上部組織ではない。硬式野球と軟式野球(準硬式野球も含む)も互いに無関係な別組織の運営となっており、かつ硬式・軟式それぞれにおいても、国内の全関連競技団体が統一的な組織にはなっていない(詳細についてはアマチュア野球界における関連団体の組織体系を参照)。

日本では、特に高校野球などのアマチュア野球においていわゆる「ガラパゴス化」が起こっていると見られており、それに伴う日本野球のレベル低下の可能性が問題視されている。

その要因としては、トーナメント方式の大会様式、金属バットの普及、投手に対する「球数・登板間隔無制限」などが挙げられる。世界の青少年野球が「リーグ戦中心」で「球数制限、登板間隔制限」を行い、木製バットや反発係数の低い金属バットで野球をしている中で、日本の高校野球だけが「トーナメント中心」で、球数も登板間隔も無制限の「投げ放題」で、反発係数の高い金属バットを使用しているのである[28]

例えば、台湾の高校野球は2004年から木製バットを使用している。韓国の高校野球では、以前は金属バットを使用していたものの2000年より木製バットへ変更された。日本と同様に金属バットが普及しているアメリカでも、2012年から反発係数が木製バットと同じ程度になるバット(BBCOR規定=Batted Ball Coefficient of Restitution)のみ使用が許可されている[29]

大量得点したチームが盗塁やバントをすることは、MLBなど世界の野球では「マナー違反」「好ましくない」とされるが、日本では「大差でリードしていても攻撃の手を緩めないのは立派だ」と評する人さえいる[30]

「勝利至上主義」が原因で、試合に出られない高校生選手

私学の中には、試合に出られない野球部員を大量に抱え込む高校があるが、それが大きな問題にならないのは義務教育段階から「実力がなければ試合に出られないのは当たり前」という認識があるためであるとする意見もある[31]

国際大会

ワールドカップ (IBAF)
IBAFワールドカップ(Baseball World Cup)は、1938年から2011年まで開催されていた野球の国際大会である。国際野球連盟(IBAF)が主催した。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)
1990年代後半からアメリカのみならずメジャーリーグベースボールにおける東アジアや北中米カリブ海諸国出身の選手の増加が進むなど、世界各国で野球人気の拡大があり、これをうけて2005年5月にMLB機構が翌年3月に野球の世界大会を開催することを発表した[32]2006年3月に16か国・地域が参加し、ワールド・ベースボール・クラシックの第1回大会である2006 ワールド・ベースボール・クラシックが開催された。その後、2009年2013年にも第2回大会第3回大会が開催された。
WBSCプレミア12
2015年11月には、世界ランキング上位12か国が野球力No.1をかけて戦うWBSCプレミア12が日本・台湾で初開催される。
夏季オリンピック
夏季オリンピックでは、野球は1904年セントルイスオリンピックで公開競技として採用されたものの、オリンピックの野球競技として正式競技になるのはそれから80年後の1992年バルセロナオリンピックからとなった(1984年ロサンゼルスオリンピック1988年ソウルオリンピックでも公開競技として実施されている)。だが、環太平洋地域以外で盛んではないという理由でIOC2012年ロンドン五輪以降オリンピック競技から野球とソフトボールを外すことを決定した[33]。これに対し、日本野球機構など各種団体は2016年度以降の野球競技復活をめざしキャンペーンを行った[34]ものの、2016年リオデジャネイロオリンピックにおいては復活は見送られた。しかし、2020年東京オリンピックでは男子野球は同じ競技扱いとなった女子ソフトボールとともに追加種目としてだが2008年北京大会以来の実施が決定した。そして、男子野球は女子ソフトボールとともに2017年にIOC総会で選出される2024年夏季オリンピックの正式競技に立候補したが、2016年・2020年(追加種目除く)と同じ28の競技が実施されることが2017年6月9日のIOC理事会で決定したため、2024年夏季オリンピックでの正式種目での開催は無い。

野球文化

映画打撃王』の広報用写真(1942年)。当時、人気が最高潮に達していたゲイリー・クーパールー・ゲーリッグを演じ、彼の代表作の一つにもなった。
1909年に発売されたホーナス・ワグナーベースボールカードT206 ホーナス・ワグナー(英語版)』)。入手が困難で希少価値が高く、2007年にベースボールカードとしては史上最高額の235万ドル(約2億8千万円)で落札された。

野球の人気度

アメリカ

アメリカでの野球人気は中長期的に低落傾向にある。ギャラップの世論調査によると、1960年には最も人気のあるスポーツであったが、1972年にはアメリカンフットボールに抜かれ、2番人気に転落した[35]2013年には1番人気のアメリカンフットボールに対し、3倍近いポイント差をつけられている[35]。伝統的に「国民的娯楽」と見なされていたが、2015年ブルームバーグの世論調査によると、アメリカ人の67%がアメリカンフットボールを国民的娯楽と見なしている一方、野球は28%に甘んじている[36]

ワールドシリーズの全米視聴率は2012年には史上最低の平均視聴率を記録した[37]が、2016年は第1戦から高視聴率を記録。第7戦では視聴率25.2%、総視聴者数4000万人に達しており、ここ25年間で最高を記録している。[38]また、視聴率調査大手のニールセンによると、2015年時点での野球の視聴者は、55歳以上の割合が50%であったが、その10年前の2005年は41%であったことからも高齢化は顕著である[39]。MLBのポストシーズン・ゲームの視聴者の6歳から17歳の若年層が占める割合はここ10年で7%から4%まで落ち込んでいる[39]。ESPNの「若者が好きなスポーツ選手トップ30」にも、初めて野球選手が1人もランクインしなかった。SFIAの調査によれば2009年の6歳から17歳までの野球人口は701万2000人であるのに対し、2014年では671万1000人となっている。また、この調査によるとアメリカンフットボールやバスケットボールと言ったメジャースポーツも競技人口が減少しており、ラグビーやラクロスといった、今までアメリカではマイナーとされてきた競技が競技人口を増やしている[40]

MLBでは観客動員が特定の球団では激減し、MLB関係者は危機感を募らせている。近年[いつ?]は「北米4大スポーツ」の他の競技の人気向上・競技人口増加によって市場占有率を奪われつつある。そんな中で、MLBは2017年には約7316万人(1試合あたり3万0132人)を動員。競争が厳しい中、何とか横ばいの数字を維持してきた[41]

日本

日本プロ野球の観客動員数は2015年途中時点で読売ジャイアンツ以外の11球団が前年比で増加した[42]。また同年オリックス・バファローズ[43]広島東洋カープ[44]はシーズン途中時点で史上最多の観客動員数を記録した他、同年シーズンの総観客数がセ・リーグが1351万900人、パ・リーグが1072万6020人と、いずれも実数発表となった2005年以降で最多を記録[45][46][47][48]。2016年にも交流戦の観客動員数において過去最多となる1試合平均2万9447人を記録する[49][50][51][52]。以降もNPBでは観客動員数の増加が見受けられており、地元密着を主眼とした各球団の企業努力の成果とする向きもある一方で、その実態はあくまで「各フランチャイズ地域内でのリピーター増加を意味するものであり、『球団がない地域』を含む全国的な野球人気向上には繋がっていない」「新規のファンは増えていない」とする調査・分析もある[53][54]

2010年には史上初めて[55]日本シリーズの地上波中継が3試合無くなった。日本テレビ副社長の舛方勝宏は「割り切っていえば、BSの普及のためにはいい。野球はBSのソフトとしては強力になってきた」と話し、「働き盛りの人は午後7時台に家に帰っていない。そういう状況で地上波では数字(視聴率)がとれなくなってきている。試合開始からじっくり見る団塊世代の人は、BSで見ている」と見解を示している[56]

台湾

台湾では1990年代後半から野球賭博や八百長が多発したことから、特にプロ野球(CPBL)の人気が大きく低下。チーム数も1997年の11球団をピークに減少し、2009年には創設時(1990年)と同じ4球団となったが[57]、2019年6月24日に味全ドラゴンズが加盟し、5球団に拡大した[58]

韓国

韓国では青少年少女の人気スポーツとなっている[18]。1982年のKBOリーグは総観客数143万人だったが、2012年には700万人を突破し[59]、2016年には観客動員数800万人超えを記録。動員数は世界のプロスポーツリーグ上位10位内に入っている[18]。ただし、その人気・実力に対して国内の競技人口は比較的少なく、日本が高校硬式野球部加盟校4,021校、部員数168,898人であるのに対し、韓国の高校野球部は67校、部員数は約2,400人である。もっとも、この傾向は野球に限ったことではなく、韓国には日本のような趣味的要素を含む部活動がほぼ存在せず、アマチュアの段階で少数精鋭化が行われるのが要因であるとされる。少数精鋭によるエリート教育はいわば韓国の文化であり、実際にプロアマともに数々の国際大会で好成績を残しているなど一定の成果を上げていはいるものの、「裾野を狭める」「メダル至上主義である」といった批判もある[60][61]

試合観戦

試合はイニング制を採用している。サッカーバスケットボールのような時間制ではないため、試合の展開により試合時間に大きな幅があるが、概ね1試合2時間 - 3時間程度である(MLBでは決着が付くまで無制限の延長する)。2010年までの日本のプロ野球においては12回で決着がつかなければ引き分けにしていた。しかし、2011年に東日本大震災が発生しその影響により試合開始から3時間30分以内で決着がつかない場合は引き分けとなりこのルールは2012年シーズン終了まで採用された。なお、2013年シーズンより元の「12回で決着がつかなければ引き分ける」のルールに戻った[62]。MLBやNPBなどのプロリーグでは年間140試合を超える多数の公式戦を行うことで大きなビジネスとなっている。

アメリカ

アメリカでは、ファウルボールが観客に直撃するアクシデントが立て続けに起こっている。「ファウルボール訴訟」が多発しているが、「危険があることを予め承知してスタジアムに来る」として、観客がケガしても球団側は免責されるケースが大半である。観客席以外でファウルボールによって負傷した場合は訴えが認められることがあるが、基本的には裁判しても勝ち目はない[63]

日本

阪神ファンの風船を使用した応援(阪神甲子園球場

野球観戦における日本独自の文化としては、応援団主導の楽器や応援歌を用いたいわゆる「鳴り物応援」がプロアマ問わず定着していることが挙げられる。起源については様々な説があるが[64]、プロ野球においては1970年代の広島東洋カープが選手に対する個別応援歌を用いての応援を始めたとされる[65]。ただし、日本独自の文化として肯定的に取り上げられる一方で[66][67]、「妨害行為・迷惑行為である」など否定的な意見も少なくない[68][69]

競技人口

日本

日本における野球は、実際に参加するスポーツというよりは、観戦スポーツとして楽しむ人が多い傾向にある。レジャー白書2005によると、2004年時点の「野球・ソフトボール用品」に対する出費は、990億円である。「球技スポーツ用品」に対する出費6640億円の15%を占めている。

「クラブ・同好会」の形で楽しむスポーツとしては一定の地位を占めている。内閣府による「体力・スポーツに関する世論調査」(2007年2月調査)では、クラブ・同好会に加入している男性のうち、22.7%が野球クラブ・同好会に加入しており、2位のゴルフ、5位テニスよりも多い。ただし、女性は5位までに含まれていなかった。

文部科学省の「我が国の体育・スポーツ施設」(平成16年3月)によると、「職場スポーツ施設」(8286カ所)においては全8286施設のうち13%(第2位)を「野球場・ソフトボール場」が占め、内閣府の統計と合致する。

日本では伝統的に野球が盛んだが、中学生の野球チームに所属する少年の数は2009年から14年までに28%減少したことが、公式統計で明らかになった[70]。全日本軟式野球連盟の小学生の軟式野球登録チーム数を見ても、2010年に1万4824チームから、2014年には1万2663チームまで減少し[71]、高校野球においても、硬式野球の全国の野球部員数は1997年の14万201人を底に一旦は増加に転じ2014年には史上最多となる17万312人に達するも[72][73]、同年を頂点に再び漸減傾向にある[74]。軟式に至っては、1990年度の1万9915人を頂点に右肩下がりの減少を続け、2016年度の部員総数は1990年度のほぼ半数の人数にまで減少している[75]

野球を題材にした玩具と作品

1886年、アメリカではタバコおまけとして野球選手の姿を画いたカードシガレットカード)であるベースボールカードを付けることが流行した。以後、ベースボールカードはトレーディングカードの一分野として人気がある。

パチンコスマートボールに野球の要素を取り入れたボードゲーム野球盤がある。日本ではエポック社が1958年より生産、販売し続けている。

1960年代の日本ではちばてつやちかいの魔球』や梶原一騎巨人の星』が嚆矢となり、少年漫画の一ジャンルとして野球漫画が流行した。1970年代には水島新司ドカベン』が、1980年代にはあだち充タッチ』が、2000年代には森田まさのりROOKIES』などがそれぞれ人気を博し、アニメ化や実写映画化がなされている。

アメリカでは映画のジャンルとして野球映画が継続して制作されている。1942年公開の『打撃王』はアカデミー賞を受賞している[76]。この他には1984年公開の『ナチュラル』と1989年公開の『フィールド・オブ・ドリームス』もそれぞれアカデミー賞にノミネートされている[77][78]アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)が「AFIアメリカ映画100年シリーズ」の一環として選定したスポーツ分野のアメリカ映画トップ10では『打撃王』が3位、『さよならゲーム』が5位にそれぞれランクインしている[79]。また、『がんばれ!ベアーズ』や『メジャーリーグ』などは何度も続編やリメイクが制作されている。

1983年に任天堂からファミリーコンピュータが発売されると、同年の内に野球を題材としたゲームソフトベースボール」が発売され人気を博した。以後、日米で「プロ野球ファミリースタジアム」シリーズや「実況パワフルプロ野球」シリーズ、「MLB The Show」シリーズなどの野球ゲームが継続して生産、販売されている。

野球界を取り巻く問題

賭博と八百長

野球の試合結果を利用した(日本においては非合法な)賭博が一部の人間の間で行われている。そのほとんどは野球界とは無関係な人間によるものだが、野球界自身の人間も関わっていることが判明した事件もある。その一部を以下に記す。

類似競技

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 一試合におけるイニング数はルール体系によって異なることがあり、小学生中学生などでは7イニングの場合もある。また、2020年より世界野球ソフトボール連盟(WBSC)主催のアンダー世代の国際大会については原則7イニング制になったほか[3]メキシカンリーグも2022年より一部の試合で7イニングを導入した[4]
  2. ^ 例えば、右翼手を退かせ、一塁手を右翼手に変更し、控え選手を一塁手として起用するということは規則上問題ない。この場合、控えだった選手の打順は、退いた右翼手の打順を引き継ぐ。

出典

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参考文献

関連項目

外部リンク

公式
その他